red-dot-for-new-article2025.11.14
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日本とチェコ、ふたつのルーツを行き来しながら、“居場所”を探し続けてきた岩澤直美さん。そんな彼女を変えたのは、海の中での出会いだった。背負っているものをそっと手放し、ただ呼吸と鼓動に耳を澄ます。そこにあったのは、何者にも縛られない自分自身の解放。フリーダイバーとして海の世界へと飛び込み、社会企業家としても活躍する彼女は、いま、自らの手で掴んだ“自分らしくいられる感覚”を、社会に広げようとしている。多様な人が自分らしく生きられる世界を目指して。心地いい場所へ――アルファ ロメオ ジュニアのハンドルを握り、海へと向かった。

海が教えてくれた、ありのままの自分

―社会企業家として活動を始めた経緯を教えてもらえますか。

「私は日本とチェコにルーツを持ち、幼いころから『自分の居場所はどこだろう』と悩んでいたんです。住む場所が転々としていたため、どの国でもどこか馴染めず、自分だけ浮いているように感じていました。そんな中で、好きなことや喜びを共有できるものを通じてなら、人とつながりやすいことに気づいたんです。この感覚を同じように悩んでいる人や子どもたちに伝えたい。そう考えるようになりました」

2-1200x800 【ジュニア】フリーダイビング日本代表・インタビュー 海で見つけた自由。フリーダイバー、岩澤さんが見つけた“本当の居場所”

岩澤直美さん。1995年チェコ生まれ、大阪育ち。高校時代に多様性社会を目指してCulmony(カルモニー)を設立。東京大学大学院博士課程で異文化間能力の学習プログラムや学習環境デザインを研究。2025年AIDAフリーダイビング世界選手権・日本代表として総合得点で5位入賞。一息で深海へ挑むフリーダイバーであり、社会起業家として多様な人が自分らしく生きられる社会を目指して活動中。

「その中で課題として感じたのが、偏見やバイアスの存在です。多くの人が見た目や肩書きにとらわれてしまう現状をどうすれば変えられるのか。どうやったらそれを乗り越えられるか。そこに強い関心を持ち、問題に取り組みたいと思いました。人と人とが“心でつながる”ための方法を探りたい。そうした思いから、教育を通じてこのテーマに取り組みたいと考え、高校3年生のときに“カルモニー”という会社を立ち上げたんです。カルモニーは“カルチャー(文化)”と“ハーモニー(調和)”を組み合わせた言葉で、さまざまな文化が調和する社会をつくりたいという願いを込めています」

3-1200x800 【ジュニア】フリーダイビング日本代表・インタビュー 海で見つけた自由。フリーダイバー、岩澤さんが見つけた“本当の居場所”

―海に魅了されたきっかけは何ですか?

「コロナ禍のとき、宮古島の八重干瀬(やびじ)というところにシュノーケルをしに行ったんです。海がとてもきれいで、海中で出会ったウミガメを追いかけているうちに、気づいたら水深20mまで潜っていたんです。体がドクドクと鼓動を打ち、緊張しながらも胸が高鳴る不思議な気分でした」

「水中で上を見上げると、太陽の光が差し込んでいて、とても心地よかったんです。まるで海にハグされたような感覚で、船に戻ってからも涙が止まリませんでした。そのとき、初めて“自分が帰る場所を見つけた”と感じたんです。社会で抱えていた重圧から解放された瞬間でした」

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―今でも海に入ると同じような気持ちになりますか?

「なります。海に入ると無駄なことを考えずに済むんです。フリーダイビングは、酸素ボンベを使わず身体ひとつで潜るため、コンディションやメンタルがとても重要です。普段、知らず知らずのうちに背負っているものをすべて外に置いて潜る。持っていけるのは自分の呼吸と、静かに響く心臓だけです。そうすると“本当の自分に出会える”感覚になります。今でも海から上がるたびに、生まれ変わったような気持ちになりますね」

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クルマと海、そして自由へのドライブ

―今日アルファ ロメオ ジュニアに乗ってみて、どう感じましたか。

「第一印象はデザインがエレガントで、かっこいいということ。新しいのにどこかクラシカルな雰囲気が漂っているように感じました。フロントのデザインにワクワクさせられ、ロゴの世界観やヘッドライトの造形が印象的でした。まるでどこかに連れて行ってくれるような、エモーショナルな気持ちになりました」

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―クルマはお好きなのですか?

「詳しいわけではありませんが、運転中に見る景色がとても好きなんです。クルマは行動範囲を広げてくれ、普段見られない景色に出会わせてくれる。それはとても贅沢な時間だと思います。トレーニングで島を巡るときも運転をするのですが、海の色や街並み、地元の人の暮らしに触れることで冒険感を味わえます」

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「気持ちの変化によっても景色の見え方が変わります。海に入る前はその先を想像してドキドキし、海から上がってきた後は景色がいっそう鮮やかに見える。運転しているときは余計なことを考えず、集中できる時間。自分と向き合える大切なひとときです」

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―ジュニアを運転した印象はどうでしたか?

「私は慎重な性格ですが、“行ける”と思ったら迷わず進むタイプなんです(笑)。フリーダイビングでは自分にあったフィンじゃないと体に馴染まず、自分に合ったフィンであれば自分の一部になったように潜れます。ジュニアを運転したときも、まるで体の一部になったように、構えず運転することができました。行きたい場所に、“行けるかな?”ではなく、“行ける!”と思わせてくれる冒険心が掻き立てられる高揚感と安心感。自分がパワーアップしたような自信を与えてくれるクルマだと思いました」

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―フリーダイビングで一番気持ちいい瞬間はどんな時ですか?

「水深20mを越えると、“フリーフォール”という体が自然に沈んでいく状態になるんです。そこで体をまっすぐに伸ばして降りていくとスピードが増し、まるで海に受け入れられているような感覚になります。これが一番気持ちいい瞬間です」

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写真:Daan Verhoeven

「今日ジュニアに乗ったときも、不思議な軽やかさを感じました。アクセルを踏んでいるときに浮遊しているかのようにスーッと前に進む感覚。それがフリーフォールのようで、クルマで初めて味わう感覚でしたね。今日一日、ジュニアを運転し、なんだか自分を広げてくれそうな気がしました。それは海と繋がれたときの感覚に近く、自信を持って運転できた気がします」

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―最後に今後の目標を教えてください。

「私が目指しているのは、皆が自分らしく生きられる社会です。誰もが息をしやすく、毎日を楽しめる。そんな日常をつくっていきたいと思っているんです。私がフリーダイビングを通じて感じた“自由”や“国境を越えてつながる感覚”は、誰もが持てるはず。それをどう広げていけるか、これからも挑戦しながら見つけていきたいです」

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未来の展望を語りながらジュニアのハンドルを握る岩澤さんは、生き生きとしていて、どこか心から解き放たれているように見えた。何にも縛られず、自分らしくいられる空間が彼女をそうさせていたのかもしれない。
「誰もが自分らしくいられる社会にしたい」。その言葉には確かな力強さが宿っていた。海に包まれて掴んだ“解放”という原体験。その自由な感覚を、彼女はこれからも多くの人に届けていくのだろう。

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