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創業115周年を迎えたアルファ ロメオが送り出した新型車「ジュニア」。渋谷ヒカリエでの華々しいデビューに続き、代官山T-SITEで一般向け先行試乗会が開催された。プッチーニのオペラが鳴り響いた発表会の熱気冷めやらぬなか、参加者たちは何を感じたのか。

ジュニアの一般向け先行試乗会「ALFA ROMEO JUNIOR PREMIUM TEST DRIVE」が6月28日(土)、29日(日)の2日間にわたって開催された。同イベントでは、ジュニアの展示や、抽選で選ばれた参加者による特別試乗などが実施され、29日には、株式会社カーグラフィックの加藤哲也社長とアルファ ロメオ事業本部の黒川進一氏によるトークショーも行われた。

セクション1:「カーグラフィック 加藤哲也氏のトークショー レポート」を読む
セクション2:「ジュニア エレットリカ / イブリダ 試乗参加者のコメント」を読む

02-4-1200x800 アルファ ロメオ ジュニア初試乗、参加者が感じた“イタリアの魅惑と情熱” 街を駆けるジュニア、その真価を代官山で

セクション1:
トークショーで語られたアルファ ロメオ愛

トークショーでは、加藤社長の歴代のアルファ ロメオ遍歴を1台ずつ振り返りながら、それぞれの思い出や取材を通じて掴んだ舞台裏の話、さらには自動車メーカーの役員やデザイナーなどの重要人物から聞いたエピソードなどが披露された。黒川氏との掛け合いも随所に織り交ぜられ、アルファ ロメオ ファンにはたまらない濃密な時間となった。

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また、カーグラフィックが約7年ぶりに出版したアルファ ロメオの別冊『Passione Alfa Romeo(パッショーネ アルファ ロメオ)』の取材で、加藤氏がステアリングを握った33ストラダーレの開発秘話や、今回の主役であるジュニアの試乗インプレッションも語られた。そのわかりやすく噛み砕いた説明に、来場者は熱心に耳を傾けていた。

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トークショーの後には加藤氏のサイン会が行われ、ペンを手にした加藤氏はサインを書くのはもちろん、『Passione Alfa Romeo』を手にした読者一人ひとりと言葉を交わしていた。そしてその後、Alfa Tribeにも応じてくれたのだった。

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トークショーでは、歴代所有してきた愛車への愛情や、そのクルマと思い出を丁寧に語ってくれたが、その姿は純粋なクルマ好きそのものだった。豊かな経験とそれを表す語彙の豊富さが滲み出ていたものの、それ以上に心を打ったのはアルファ ロメオに対するピュアな眼差し。本当に嬉しそうに、楽しそうにアルファ ロメオについて語るのだ。そこで加藤氏に率直な質問をぶつけてみた。

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アルファ ロメオに対する深い愛情を感じましたが、そのようにいつまでもワクワクしていられるのは、クルマの楽しさに包まれているからでしょうか。
「それはまったくその通りですね。クルマにはそれぞれに魅力があると思いますが、僕が求めているのは、機能だけでなく心を躍らせてくれるもの。冷静なだけではなく、ちょっと感情を掻き乱してくれるとか、気持ちを昂らせてくれるとか。そういうものを求めて、結果としてアルファ ロメオに行き着いたんです」

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それは自分の感性がそういうものを求めていたということでしょうか。
「なんでかよくわからないんだけど、例えば映画監督になりたいと若い頃思ったのも、イタリアの映画がきっかけなんです。イタリアの家具がいいなと思ったり、イタリアの工業デザインに惹かれたり。多感な高校生の頃に魅かれ、触れるようになったものはイタリア製のものが多かった。自分の感性にピタッとはまる。あるいは目が覚めるようなものが、なぜかイタリアに多くあったのは事実ですね」

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そうした視点でいうと、ジュニアはどのように感じますか。
「今回アルファ ロメオは、見た人の視覚にインパクトを残すような造形をジュニアに与えてきたと思うんです。このウッと一瞬思わせるデザインを採用するのは、アルファ ロメオの伝統の一つだと思います。古くは1950年代に登場した1900、70年代にはセダンでありながら個性的な形をしたアルフェッタ・ベルリーナ、80年代には創業75周年に発売された75や2シーターのSZ、そして90年代に登場した3ドアハッチの145もそうだと思うんですけど、オーセンティックなところから外れたところで人の心を掴みにいく。ジュニアもそうですよね。ギョッとさせるようなインパクトがある一方、広い目で見るとスポーティというキーワードの枠組みにある。そんな1台だと思いますね」

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『Passione Alfa Romeo』に込めた想いを教えてください。
「『Passione Alfa Romeo』を作ったのは7年ぶりなんですよね。前回はブランドのルネサンスや、後輪駆動のジュリアが登場し、プレミアム志向へと脱却していくアルファ ロメオの新しいチャプターの始まりを表現することがテーマでした。今回は、33ストラダーレというアルファ ロメオのイコン、ご神体のような存在を現代に甦らせた。わずか33台しか生産されないその希少性の高いモデルと、ジュニアが登場したことで、アルファ ロメオのダイナミックレンジがすごく広がった。そうした今のアルファ ロメオの姿を伝えるのが目的のひとつ。一方でその中に延々と流れるアルファ ロメオのDNAやヘリテージ、レガシィは保たれ、一本筋の通った魅力を堅持し続けていることも伝えたい。そんな思いで作ったのがこの新しい『Passione Alfa Romeo 新たな神話 永遠なる情熱』です」

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加藤氏が語った言葉の端々から感じられたのは、単なる機能的評価ではなく、クルマを「心を動かす存在」として見つめるまなざしだった。ジュニアのデザインについても、「軽くショックを与えるような造形」という言葉が印象的だったが、それは奇をてらうためではなく、アルファ ロメオが歴史の中で磨き続けてきた、見る者の心を震わせるための哲学そのものを言い表しているように感じた。さらに『Passione Alfa Romeo』に込めた「DNAやヘリテージを伝えたい」という思いもまた、アルファ ロメオをただの商品ではなく文化的存在として捉える加藤氏の視点を物語っていた。

セクション2:
参加者が語る、ジュニアのリアルな印象

さて、続いてはジュニアに試乗した方々の声を紹介していく。試乗会では、プロドライバーの運転で代官山蔦屋をスタートし、港区・イタリア街で運転を交代。今度は参加者が自らステアリングを握り、高速道路と一般路の計20kmを運転するコースだ。参加者はこの試乗を通じて何を感じ取ったのか。

「家族にも嬉しい乗り心地」矢藤さん夫婦の場合

現在の愛車:アバルト
家族構成:夫婦

ご夫婦で試乗会に参加された矢藤永志さんの現在の愛車はアバルトだという。その楽しさには満足しているものの、お子さんが生まれる予定があり、チャイルドシートを使いやすい5ドア車への乗り換えを検討していること、さらにジュニアのデザインがスタイリッシュで矢藤さんの感性を刺激したこともあり、試乗会に応募したそうだ。
クルマを選ぶ上で何を重視しているのか。また、ジュニア イブリダを実際に試乗してどのように感じたか伺ってみた。

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「取り回しがしやすいコンパクトなクルマが好きで、乗っていて楽しいかどうかが自分の中ではクルマ選びで大事なポイントなんです。ジュニアは思った以上に乗りやすいクルマでした。アクセルのレスポンスもいいですし、ブレーキフィールも良くて、乗り心地もとても良かったです。尖った印象はなかったですが、クルマとしてはいいデキだと思います。トランスミッションはデュアルクラッチ式のDCTなので変速ショックも感じず、ドライブフィールはいいですね。3気筒エンジンですが、モーターの力が加わることで立ち上がりも良く、中間加速もいい。揺れも少なくて、アクセルを踏むと急加速はするんですけど、そこまでドーンという感じではないので、ファミリーカーとしても良さそうですね」

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試乗に同行された奥さまにも感想をうかがってみた。
「あまりクルマのことはわからないのですが、形は結構かっこいいと思いました。フロントのマークが2種類あって、蛇のエンブレムが気に入りました。後ろのドアを開けるノブが目立たない場所に付いていて、4ドアなのに最初は2ドアかと思ったほどです(笑)。やはりリアドアもあった方が、チャイルドシートは使いやすそうだと感じました」

「走りに心が躍る」原田さんの試乗感想

現在の愛車:アルファ ロメオ スパイダー ヴェローチェ
家族構成:3人家族

アルファ ロメオにずっと興味があり、ジュニアがどんなクルマなのか知りたくて今回の試乗会に参加したという原田さん。試乗したのはエレットリカだ。さっそく感想を聞いてみた。

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「他の電気自動車にも乗ったことがありますが、ジュニアは電気自動車特有の癖があまりなく、普通に運転してるとガソリン車を運転しているような感じがしました。ボディサイズ的にはエンジンの小さいクルマに相当すると思いますが、ドライブモードをダイナミックにすると加速が鋭く、Nモードだとスムーズで自然に走れる。どちらのモードでも、車格に対して軽快でパワフルだと感じました。回生ブレーキについても、電気自動車によくある自分の意思とは違うような動きをするようなところがなく、アクセルとブレーキ操作だけで自然に走れるのがいいですね。クルマ本来の楽しさがあると感じました」

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またハンドリングについては次のように話してくれた。
「都内の試乗だったのでしっかり試せたわけではありませんが、ハンドルは思ったより軽い印象でした。ただ、遊びがある感じはなく、切った通りに素直に反応してくれました。個人的にいかにも電気自動車っぽい仕掛けというのはあまり好きではないんですけど、ジュニアはそういうところがなく、EVらしさが強調されていないところが逆に良かったですね」

「小さくても本物」木下さんが感じたアルファ ロメオらしさ

現在の愛車:フランス製コンパクトカー

アルファ ロメオの新型車が出たと聞いて興味を持ったという木下大輔さん。「こういった試乗会だったら気軽に参加できますし、いろんな道を試せるかもしれないと思って応募しました」と参加の動機を話してくださった。では実際にジュニア イブリダを試乗して、どのような印象を持ったのだろうか。

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「印象に残ったのは、軽快なんですけどコーナーではしっかり踏ん張ってくれるところです。軽快なのに安定感があって運転しやすかったです。小さいSUVって、ちょっと不安が残ることが多いんですけど、ジュニアにはそれがなくて、“やっぱりアルファ ロメオのクルマなんだな”と思いました。それでいて静かで快適で、いい意味でド肝を抜かれました。エンジンについては、排気量が小さくなったのでどうなんだろうと思っていたんですが、しっかりと良さが残っている印象でした。全体的にしっかりしているけど、どんどん楽しく運転させてくれるようなクルマだなと感じました」

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現在、マニュアルのホットハッチに乗っていて手放したくないという木下さん。もし増車するとしたら、セカンドカーとしてジュニアはどう映ったのだろうか。
「周りにはセカンドカーとしてハイブリッドカーを選んでいる友人が多いんです。確かに街乗りで普段の足として使うならそういったクルマでもいいのかなと思います。ただセカンドカーとして見るなら、長時間乗っても疲れないこと、運転が楽しいこと、そして維持費がそこまで高くないこと、その3点が大事だと思っています。その評価基準で見ると、ジュニアは結構当てはまると思います。写真で見るより実物はコンパクトな印象ですけど、後ろも広いので普段使いでも困らないと思いました。あと、安全装備もしっかりしていたので、万が一何かあったときにも安心できます。今どきの装備を備えつつ、ちゃんとアルファ ロメオのクルマに仕上がっていることが確認できました」

「女性でも扱いやすいEV」M.Eさんの視点

現在の愛車:国産SUV(ハイブリッド)

クルマ全般が好きだというM.Eさん。試乗したのはジュニア エレットリカ プレミアム。どんな理由で参加したのかうかがった。

「クルマ全般が好きなんですけど、電気自動車にも興味があったのと、アルファ ロメオは元々好きなメーカーなので申し込みました。アルファ ロメオのガソリン車には乗ったことがあったので、EVだとどんなクルマに仕上がっているのか興味があったんです」

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実際にジュニアに乗ってみて、どんな印象を持ちましたか。
「よかったです。加速が良かったですし、ペダルの踏み心地も軽い感じがしました。軽いから運転しやすいですし、ボディサイズが小さいので都内でも走りやすいです。女性の私にとっては、ある程度視界が高いので見通しも良かったですね」

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ジュニアの魅力はどういったところにあるとお感じになりましたか?
「やっぱりアルファ ロメオということで、おしゃれなクルマだと思いました。そしてジュニアはおしゃれなのに手が届きやすい。EVだと非常に高額なモデルが多い中で、手が届きやすい価格なのが魅力だと思います。印象はとてもいいと思います」

「一目ぼれで石川から」森岡さんが抱いた期待

現在の愛車:国産コンパクトカー
家族構成: 5人家族

「どんな乗り心地でもこれが欲しいと思って来ていますので」。そうおっしゃるのは、素敵な着物で来場された森岡千里さん。聞けば仕事とこの試乗会の日程を調整して、石川県からご参加されたとのこと。
「ジュニアの登場が予告された1年ぐらい前から、もうこのクルマが出たら買う!って(笑)。クルマ好きなのかって言われたらそういうわけではなく、もう情報だけで一目ぼれしたところがありました。そして今日初めて実車を見て、想像していたよりもかわいかったです」

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ジュニアのどんなところに惹かれたのですか?
「クルマが生活に必要な地域なので、毎日運転はしているのですが、これまでは子どもが小さかったので国産のスライドドア車に乗っていたんです。そして子どもが成長し、隣のクルマへの配慮ができる年齢になったので、ようやく自分の好きなクルマを選べるようになったんです。今日ジュニアを運転してみて、慣れないから停止線より手前で止まってしまったりして乗りこなせた感覚はないのですけど、買えば慣れるだろうと思っています(笑)。便利なクルマよりも、乗ってる時間が楽しくなるような、そういうクルマを求めているんです。それでジュニアをずっと見続けていました。このクルマを迎えることができたら素敵だろうと期待で胸が膨らんでいます」

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試乗を終えた参加者たちが語ったのは、アルファ ロメオ ジュニアの持つさまざまな顔だった。クルマに求めるものは人それぞれ異なるが、ジュニアは感性を刺激するデザインや、運転の楽しさ、“アルファ ロメオらしさ”をしっかりと感じさせてくれる存在に映ったようだ。新たなフェーズへと踏み出した今も、ブランドが115年もの間追い求めてきた“心を動かすクルマ作り”。 参加者の皆さんは、その鼓動がジュニアの中に確かに息づいていることを感じられたようだ。

Text: 曽宮岳大
Photo: 望月勇輝(Weekend.)

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