red-dot-for-new-article2025.7.25
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昨年、アルファ ロメオ ジュニア国際試乗会に招待されたカーライフ・エッセイストの吉田 由美さん。ジュニアが日本でデビューしたこの機会に、バロッコでの国際試乗会の振り返りと、満を持しての国内でのジュニア試乗レポートをお届けする。

※ジュニア エレットリカ ヴェローチェに関する写真の車両仕様・ボディカラーおよび記事中の数値は欧州仕様のものとなります。ジュニア エレットリカ ヴェローチェの日本導入は未定です。

やっと会えた…

ちょうど1年前、私はイタリア・ミラノからほど近いアルファ ロメオの聖地、バロッコのテストコースにいました。ここは、現在はアルファ ロメオだけでなく、アルファ ロメオを傘下に収めるステランティス グループで使用されるプルーピンググラウンド。そこで試乗したのは、アルファのコンパクトSUVの期待の星、新型ジュニア。正直、ジュニアをオンラインの新車発表や写真で見たときは、斬新すぎて、少し違和感を感じていました。アルファ ロメオのSUV、トナーレやステルヴィオ譲りの筋肉質なフェンダー、低く構えたルーフライン、アルファ ロメオ伝統の切り落とされたようなリア、クーペのようなシルエットはアルファ ロメオらしさ満点。一方で、クルマの印象を大きく左右するフロントデザイン。真ん中に鎮座する盾型のグリルはアルファ ロメオのアイコンで、「スクデット」と呼ばれ、ジュニアに採用されたのは2タイプ。「プログレッソ」デザインでは左側にミラノ市章である赤十字、右側にミラノの貴族ヴィスコンティ家の紋章の人を飲み込む大蛇(ビショーネ)の大きなアルファ ロメオの紋章が透かし絵のように描かれ、このインパクトが強すぎ。
しかし実車を見るとスタイリッシュにまとまっていて、昨今ではドイツの自動車雑誌のデザイン賞「autonis」のSUV/コンパクトオフロード車部門で、最も美しいデザインに選ばれるなど、世界各国でもデザインに対する評価が高いとか。

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▲日本ではBEVの「ジュニア エレットリカ プレミアム」とマイルドハイブリッドの限定車 「ジュニア イブリダ スペチアーレ」に装備された「プログレッソ」デザインのスクデット。

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▲国際試乗会での「ジュニア エレットリカ ヴェローチェ」。

バロッコのテストコースでは、BEVの「Elettrica(エレットリカ)」のハイパフォーマンス版「Veloce(ヴェローチェ)」に試乗。容量54kWhの高エネルギー密度バッテリーを搭載し、前輪を駆動させる280PSのパワー、345Nmのトルクを叩き出し、0-100㎞/hは5.9秒、最高速は200㎞/h、航続距離は334㎞(WLTPサイクル)。車内に乗り込むと、程よくドライブモードなどのスイッチ類があり、タッチ操作も可能な10.25インチのインフォテイメントなどはドライバーに向かって装備されています。エアコンの吹き出し口中央にはビショーネ、ダッシュボード中央にはアルファ ロメオのマーク、さらにBEVにのみスピードメーターの中にビショーネの口がコンセントになっている「エレクトリック ビショーネ」が佇んでいます。また、「ヴェローチェ」には、ヘッドレスト一体型の人工皮革を使用したスポーツシートが採用され、よりスポーティ感倍増。試乗コースは、テストコース内にもかかわらず、一般道を模した20㎞以上にも及ぶ長いコースが設定され、先頭をインストラクターが走り、その後を試乗車が連なって走るカルガモ走行。しかし、このスピードが思いのほか速く、追いつくのがやっと(笑)。全長4173㎜×全幅1781㎜×全高1505㎜にBEVにしては軽い1550㎏の車両重量も相まって、加速がよく軽快そのもの。おのずとアクセルを踏む足に力がこもり、次々と迫るコーナーを、まるでゲームをクリアするように進みます。なるほど!これは、ハンドリングに自信があるからこそ設定されたコースなのね。ステアリングを切り込んだ時に瞬時に感じる、からだとの一体感。そして、加減速はもちろん、ドライバーである私の操作に常に正確に応えてくれるから楽しい。試乗時のスピードがアップするのも納得!ちなみに20インチのアロイホイール、ミシュランタイヤを装着。ただ、この時に残念だったのは、マイルドハイブリッドモデルの用意が無く…「ジュニア イブリダ」は、日本発売までお預け。

というわけで、前置きが長くなりましたが、1年越しで日本での再会&試乗が叶いました!最初に感じていたスクデットへの違和感はすっかり無くなり、今ではむしろそれが魅力と感じているから不思議。ジュニアは、最初に強いインパクトを与え、2度目に見るとちょっと安心感、そして3度目に見たときには好きになるという、不思議な法則。
新型ジュニアの発表会で見た、日本仕様のBEVの「エレットリカ」のフロントマスクには、ビショーネが施された「プログレッソ」デザイン。盾のマークの中の三角形のメッシュに筆記体の「Alfa Romeo」のロゴが入った「レジェンダ」デザインは、ハイブリッドモデルの「ジュニア イブリダ」のアイコン。ただし、ローンチを記念した200台の限定車「ジュニア イブリダ スペチアーレ」には、エレットリカと同じくフロントグリルに「プログレッソ」デザインが採用されています。日本に導入される「エレットリカ」は「プレミアム」の1グレードのみで、イタリアで試乗したのとは違うグレードとのこと。そちらの話はまた今度。

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▲国内導入BEVモデルの「ジュニア エレットリカ プレミアム」

坂の街 横浜を軽快に。ジュニア イブリダ

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▲写真は「ジュニア イブリダ プレミアム」。

そして、念願のマイルドハイブリッドの「ジュニア イブリダ」。「イブリダ」には、「イブリダ コア」「イブリダ プレミアム」の2グレードに、限定200台のローンチモデル「イブリダ スペチアーレ」の3グレードが設定されていますが、今回試乗したのは、「イブリダ プレミアム」。スクデットは「Alfa Romeo」のロゴ入りの「レジェンダ」デザインこれはこれで実車を見ると、なかなか素敵。そして、さらにお洒落感を格上げするのがボディカラー。ナヴィリ ブルーは明るさによってブルーにもグリーンがかっても見える今ドキなカラーで、スタイリッシュなジュニアにピッタリ。アルファ ロメオというと赤のイメージが強いですが、この色は、より個性的で上質な印象になりそう。

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▲イブリダの「スペチアーレ」と「プレミアム」に用意されたエクステリアカラー、「ナヴィリ ブルー」。また限定車の「スペチアーレ」を除き、イブリダのスクデットは「レジェンダ」デザインとなる。

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▲アスリートの筋肉を思わせる美しいラインのサイドビュー。

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▲リアからのスタイリングも、曲線をまとった美しい形状とコーダ・トロンカと呼ばれるテールエンドが印象的。

イブリダの魅力は外見だけではありません。「マイルドハイブリッド」のパワートレーンを搭載しています。アクセルを踏んだ瞬間に感じるのは、驚くほど滑らかで、静かな走り。エンジンが始動するときも‘ブルン’という音はほとんど気にならず、通勤や買い物、ちょっとお洒落な場所へのドライブも、まるで上質なカシミアのコートのように軽やか。

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▲横浜の街中を軽やかに駆け抜ける「ジュニア イブリダ」。

運転席からの視界が高すぎず低すぎず、ちょうどいいのもポイントです。ハンドルは軽くて扱いやすいので、狭い駐車場でもストレス無く、スッと入れるし、全長4.2mのコンパクトサイズなので、住宅街の小さなコインパークにも難なく止められるのがうれしい。また、私が住む横浜は、坂の多い街。住宅街では狭い道も多いので、小ぶりのSUVは最強。モーター走行は上り坂が得意だし、下り坂や巡行時にはエンジンを止めた走行に切り替わります。低速でもしっかりトルクを感じつつ、加速時にはエンジンの鼓動が加わって運転も楽しい。そして、ガソリン車より経済的で、充電の心配もなし。室内もシンプルだけど洗練されていて、シートの感触やスイッチ類が少し大人っぽい雰囲気。

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▲「ジュニア イブリダ プレミアム」のドライビングマインドをかきたてるコックピット(加飾はモデルによって異なります)。

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▲所々にビショーネが顔をだす遊び心のあるインテリアデザイン。

「イブリダ」にはスピードメーター内のビショーネがいませんが、車内外の随所にビショーネが散りばめられています。ちなみにトランクの広さは415ℓ、車両重量は1330㎏。

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▲写真の「ジュニア イブリダ」は415リットル、「ジュニア エレットリカ」は400リットルという大容量のラゲッジスペースを実現。

イブリダは1.2L直3ターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドで、21kWのモーターの力を借りつつ、鼓動するエンジンも抱えています。しかし、スタートスイッチを押してクルマが動き出した瞬間、イブリダは想像以上に‘EVっぽい’モーター音や加速感、という予想外な印象。想像以上に軽快です。イブリダの主役は、モーターとエンジンで気まぐれに変わりますが、そういうところも、どこか人間っぽくて愛おしいですね。

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▲吉田 由美さんが待ちに待った、ジュニア イブリダを横浜で試乗。

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▲“最高のドライビングカー”をコンセプトに生まれたジュニア。ワインディングも街中も思いのままのクイックなハンドリングや、高速走行時でも安定感のあるパフォーマンスを実現。

Text: 吉田由美
Photo: 望月勇輝(weekend.)

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