2021.7.15
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今年で111周年を迎えたアルファ ロメオ。それを記念して、6月24日(木)に配信されたアルファ ロメオ111周年 オンラインイベントの特別企画として“アルファ ロメオの新たなはじまり”をテーマにオーナーインタビューを実施。株式会社カーグラフィック代表取締役社長・加藤哲也さんがインタビュアーを務め、4組5名のアルフィスティにアルファ ロメオにまつわる思い出やストーリーについて話をうかがったので、2回に分けてお届けしよう。前半は、アルファ ロメオのイベントに関わる2名のアルフィスティだ。

アルファ ロメオとともに歩むそれぞれのライフストーリー

1910年6月24日。イタリアはミラノにA.L.F.A.(ロンバルダ自動車製造有限会社Anonima Lombarda Fabbrica Automobili)が設立され、アルファ ロメオは今年で111周年を迎える。未だに続くコロナ禍の中、多くのオーナーやファンにお集まりいただくことは難しい。そこでこの熱い想いを伝えるべく、111周年を記念したオンライン特別企画を開催。そのなかで、“アルファ ロメオの新たなはじまり”をテーマに、4組5人のアルフィスティにインタビューを行った。インタビュアーを務めたのは、これまで公私ともにアルファ ロメオと深く関わり、アルファスッドやジュリア GTA、4Cなどを愛車としてきた、カーグラフィック代表取締役社長の加藤哲也さん。自動車メディアのオーソリティにして、日本を代表するアルフィスタでもある加藤さんが、皆さんの“アルファ ロメオ ライフ”と未来を見据えたアルファ ロメオへのメッセージをお送りする。

DSC4553-1 アルファ ロメオ創立111周年記念オーナーインタビュー(前編)
▲今回インタビュアーを務めた、カーグラフィック代表・加藤哲也さん

最後まで持っていたいクルマ:斎藤益朗さん

はじめにご登場いただくのは、1966年式のジュリア スプリントGTにお乗りの斎藤益朗さん。初めて購入したアルファ ロメオは155のツインスパークモデルで、イベントなどに参加していくうちに古いアルファ ロメオに出会った。

DSC4655-Edit アルファ ロメオ創立111周年記念オーナーインタビュー(前編)
▲斎藤益朗さん

「単純にカッコいいと思ったので、古いモデルにも乗りたいと思い始めました」と斎藤さん。その後アメリカ赴任時代にこのジュリア スプリントを購入。赴任が終わると日本に「引っ越し荷物と一緒に持って帰りました」。日本で全塗装をした後、再びアメリカ赴任が決まり、またもやジュリアもアメリカに渡る。
「イタリアからアメリカに新車で輸出されたときも含めると合わせて4回(現在日本に持ち帰ったので)海を渡った変なクルマです(笑)」

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二度目のアメリカ赴任の際、現地オーナーズクラブ主催の全米イベントに参加。
「日本での全塗装は、私のいとこが板金業者に勤めていてそこにお願いしました。おかげでピシッとしたラインも出ていて、あるオーナーがじっと見ながら“これはすごくきれいに線が出ているね”と褒めてもらったのはいい思い出です」といまでも嬉しそう。

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1998年に購入したので20年以上経つというこのジュリア。その魅力について加藤さんから聞かれると、「初期型独特のグリルが気に入っています。後期型にいくにしたがってフロント周りのデザインが変わっていくのですが、この初期型こそジウジアーロのオリジナルデザインかなと想像できるところもポイントです。そして“段付き”のボンネットに憧れて買ったというところもあります」。
エンジンも、「ボンネットを開けた時に目に飛び込んでくる、典型的な4気筒のアルミヘッドが気に入っています。また、オイルパンがすごく大きくて、冷却にも気を使っているという、レースのヒストリーも感じさせるところも魅力ですね」と説明。また、「運転して楽しいというところも魅力です。さわやかな気候の時に、窓を開けて風を浴びるだけでもすごく気持ちが良いのです」

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そして、「別に速いクルマではありませんが、それが重要なのではなく、速度が上がるまでの音や振動が気持ちよく変化していく感じが良いですね」と斎藤さん。加藤さんから、「自分の気持ちとシンクロしているということですか?」と問われると、「そうです。キャブレター車なので、雑にアクセルを踏むとついてきてくれない一方、上手く加減して成功した感じなどのダイレクト感や、ブレーキも自分の足でどう調整するか。自分の接し方ひとつで上手くシンクロする感じが良いですね」と教えてくれる。その話を聞いた加藤さんから、「このクルマは運転できる限り手放さないでしょ?」と聞かれ、「はい、最後まで持っていたいクルマです」とぞっこんな様子だった。

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実は斎藤さんはアルフィスティにはおなじみのイベント『Alfa Romeo Day』のスタッフとしても活躍している。
「私は人づきあいが苦手なのですが、付き合いたくないわけではないんです。アルファ ロメオを持ってから、イベントなどで出会った人とすごく話が弾んで、深い友達になれることに気付きました。そういう友人が(アメリカでも日本でも)得られたのはすごく大きな変化でした」という。イベントも、「最初は参加者でしたが、運営側の人たちの輪が楽しそうに見えて、そこから仲間に入れてもらいました。実際にやってみると、イベントを作り上げていくという楽しさもありましたし、やはりそこに関わっているのはみんな“濃い人”たちなので、その人たちと接するのがすごく楽しいですね」と充実しているようだ。

ちなみにアルフィスタとはどういう人たちかを加藤さんが尋ねると、「クルマ好きであるとともに、ほかのどんなブランドと比べても、ファッションやライフスタイルがダントツにお洒落ですね。一方で、メカ好きで自分でイジらずにはいられない、マニア、エンスー、オタクといった血の濃さでもやはりダントツです」とのこと。ちなみに斎藤さんは後者だとか。さらに、「人の世話をするのも好きだったり(笑)。私は自分から積極的に話しかける方ではないのですが、ガンガン話しかけてくれる人が多い印象です」

斎藤さんに今後のアルファ ロメオに期待することを問うと、「最近V6エンジンのモデルが欲しくて156のV6モデルを買ったのですが、やはり乗っていて楽しいです。アルファ ロメオは運転する楽しさが世界一。それは111年前もいまも、そして次の111年も永遠に変わらないと信じています」とコメントした。

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ドラマが始まるような出会い:櫻井わかばさん

現在、スパイダー(939)147 スポルティーバにお乗りの櫻井わかばさんは、Facebookグループ“アルファ ロメオ友の会”のイベント『La Storia Speciale』の実行委員をはじめAlfa Romeo Dayに参加するなど、積極的にアルファ ロメオ ライフを楽しんでいる。ちなみに取材後、ジュリエッタを購入し、さらにアルファ ロメオとの日々を満喫しているそうだ。

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▲櫻井わかばさん

そんな櫻井さんとアルファ ロメオとの出会いは偶然だった。
「自分の生活環境が変わり、コンパクトなクルマに乗りたいと自分のクルマ選びが始まりました」という。それまで所有していたのはお父さまから与えられたイギリスの大型サルーンとドイツのプレミアム スポーツカーという2台だった。そんなとき、ご自宅の近所にあるアルファ ロメオのディーラーに偶然立ち寄った。

「147の後期型が出たばかりの頃でした。アルミ削り出しのドアノブを見て“素敵”と思って、すぐさまドアに手を掛けてしまいました。そこからですね」と述べる。そのときは見ただけだったが、後日試乗にも出かけた。
「もう楽しくて、楽しくて。コクピットの美しさとともに、エンジンを掛けた瞬間から奏でられるツインスパークのエンジン音が私の中で鮮烈に響いてきたのです」

「まるでドラマが始まるようですね」と加藤さん。櫻井さんも、「その瞬間からパッと世界が広がるような感じでした。試乗して、これを買うという気持ちになれた初めてのクルマでした」。
そこで、「櫻井さんのモータリングライフは147から始まったという印象ですか」と加藤さんに尋ねられると、迷いなく「まさにその通りです」と返答。147は(取材時に所有されていたモデルを含め)実に3台も乗り継いでいて、相当気に入っている様子だ。

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そしてスパイダーを選んだ理由について、「斜め後ろから見た美しいボディラインにすごく惚れ込んだからです。リアのデザインはずっと見ていられるくらい好きですね」とうっとりとした表情で加藤さんと話す。そのデザインは、「プロポーションの巨匠ジウジアーロと、クルマをエレガントに作り上げるピニンファリーナが最後にコラボレーションしてデザインしています。今後、実現することはないかもしれないので購入しました」と説明。さらにインテリアもシートの色が特にお気に入りだ。「赤のスパイダーだとシートは黒という組み合わせが多いのですが、“タバコ”というこのカラーが好きです。これも購入のきっかけになりました」という。

DSC4747 アルファ ロメオ創立111周年記念オーナーインタビュー(前編)

スパイダーと147との使い分けは、「スパイダーは基本的には休日しか乗りませんが147は通勤などで毎日乗っています。自宅が箱根にも近いので、走りたいなと思う時は147で来て、オープン日和だなと思う時はスパイダーです」とのこと。そこで加藤さんから、「両方とも気に入っているようですが、どちらか1台を選べといわれたら?」と質問されると、「難しいですね……。むしろもっと欲しいくらい(笑)」と答えていた。

DSC4490 アルファ ロメオ創立111周年記念オーナーインタビュー(前編)

アルファ ロメオのイベントにオーガナイザーとして参加したこともある櫻井さん。そこで人生において大切な出会いもあったそうだ。「自分とアルファ ロメオとの人生が華やかになったのは、ずっとアルファ GTに乗り続けている女性に出会い、お友達になったからです」という。そこから7年が経過したが、「いまでも月に1回、必ず2台で出かけてご飯を食べるなど、色々な楽しみ方をしています」

そのほかにも、「これまで同年代か少し歳下の人たちと多く交流していましたが、だんだん自分よりも歳上の人と知り合うようになって、古き良きアルファ ロメオの話を聞く機会もすごく増えました」と交友関係とともに知識量も増えていっているようだ。

そんな櫻井さんなので「憧れのアルファ ロメオは?」と加藤さんからの質問に、「憧れというか、一度見てみたいのはカングーロ」と即答し、加藤さんを驚かせる。「あのデザインは写真でしか見たことがないので、これを肉眼で見たらものすごいだろうなと思っています」という。また4Cも憧れだとし、「一度高速で見かけた4Cを追いかけたことがあります」と明かした。実はその車を運転していたのは今回のインタビュアーである加藤さんだったそうで、後からそれを知って驚いたそうだ。

DSC4805-Edit アルファ ロメオ創立111周年記念オーナーインタビュー(前編)

「アルフィスタとはどういう人なのでしょう」と加藤さんから聞かれると、「自分もそうですが、アルファ ロメオと過ごす休日が待ち遠しくて仕方がない。アルファ ロメオと過ごせることが幸せで、毎日でも眺めるたびにドキドキし、ハンドルを握ればパワーをチャージできるような感覚の人」とコメント。

そして、「アルファ ロメオのない生活は考えられますか?」と聞かれると、「考えられない!」と即答し、「これからもアルファ ロメオに乗り続けますか?」と問われると、「間違いないです!」と断言した。

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アルファ ロメオが縁となり、そのイベントでは素敵な出会いもあったお二人のお話をお届けした。次回は親子二代で、そしてご主人との思い出が詰まったアルファ ロメオとのストーリーをご紹介する。

※ソーシャルディスタンスを保ち、安全に十分に配慮したうえで取材を行っております。

Interview:加藤哲也

Text: 内田俊一(Shunichi Uchida)
Photo: 安井宏充(weekend.)

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