アルファ ロメオ ジュニアのあるライフスタイル、始まる Part 1
ジュニアが繋ぐ、アルファ ロメオと家族の時間ふたたび｜クラウディオ&クラウディア・サルヴィッキ夫妻

若き日にクーペモデル アルファスッドを23年所有したクラウディオ・サルヴィッキさん。その彼が新たに選んだのは、ブランドの新たな領域を切り拓いたモデル、ジュニアである。彼の言葉からは、アルファ ロメオへの変わらぬ愛情と新世代モデルへの高い満足感を感じることができた。
写真の車両の仕様・ボディカラーおよび記事中の数値は欧州仕様のものとなります。

▲アルファ ロメオ ジュニアとクラウディオ＆クラウディア夫妻。

夫人の次に、ひと目惚れ

クラウディオ・サルヴィッキさんは1956年生まれ。数年前にリタイアし、今や悠々自適の生活を送る。現役時代は、少年たちの憧れの職業のひとつであるイタリア国鉄の車掌だった。インターシティやイタリアが誇る高速特急「フレッチャロッサ(赤い矢)」などに38年間乗務した。

彼のガレージに2025年2月、新しい愛車がやってきた。アルファ ロメオ ジュニア イブリダ(MHEVモデル)である。「スペチアーレ仕様をチョイスしました」とクラウディオさんは笑顔で語る。夫人の名前はクラウディアさん。ひと文字違いの仲良し夫婦だ。従来、彼らの家には小型ファミリーカーが2台あったという。「ふたりとも仕事を卒業しましたので、1台にまとめることにしたのです。そこで白羽の矢を立てたのが若きの日の思い出のブランドの、それも最新型というわけです」

▲夫妻のジュニアはイブリダ(MHEVモデル)のスペチアーレ仕様。

▲MHEVならではの市街地における静粛性も、新世代アルファ ロメオの魅力だ。

▲郊外ではアルファ ロメオの名に恥じない走りを堪能できる。伝統のカノッキアーレ(双眼鏡)型メータークラスターがしっかりと受け継がれているのも、クラウディオさんのお気に入りポイントだ。

クラウディオさんはみずからの車歴を語り始めた。免許取得以来、他のイタリア製中古車に乗っていた彼に転機が訪れたのは、イタリア国鉄に就職してまもなくのことだった。「1976年、登場したばかりのアルファ ロメオ アルファスッド スプリントを見た瞬間、ひと目惚れしたのです…もちろん、ひと目惚れ自体は妻が先でしたが！」 さすがイタリア紳士。飄々とした表情で笑いをとることを忘れない。

▲特急車両に車掌として乗務中のクラウディオさん。

アルファスッド スプリントはコンパクトなクーペモデルだった。ベースとなった小型車アルファスッド同様にデザインは天才デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによる。低重心の水平対向1.3リッターエンジン、バネ下重量が軽いインボードブレーキといった機構で当時のファンを魅了した。

かくして1979年、クラウディオさんは美しいミッドナイト・ブルーのアルファスッド スプリントを手に入れた。「エンジンは軽やかに回り、アウトストラーダ(高速道路)の直進性だけでなくコーナリングでの接地性も存分に楽しめました。私が住むトスカーナ州にはキャンティ地方をはじめ素敵なワインディングがたくさんありますからね」

クラウディオさんは興奮した口調で続ける。「ストレートでも俊敏でした。とくに堪能できたのは国道1号線。まさに『イル・ソルパッソ』のロケ地です」。Il sorpasso(邦題『追い越し野郎』)とは1962年の有名なコメディ映画だ。名優ヴィットリオ・ガスマンとジャン=ルイ・トランティニャンが国道1号線・アウレリア街道を疾走するシーンは、ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)時代のイタリアを象徴する名場面である。

▲アルファ ロメオ アルファスッド スプリント。(photo:Italdesign)

▲夫妻のアルバムから。冬のヴァカンスにおける記念写真。アルファスッド スプリントはいつも家族と一緒だった。

「アルファスッド スプリントは単なる移動手段ではなく、家族の相棒でした」。その言葉を証明するように、最終的に23年・25万キロメートルをともにした。その後、共働きの必要性からファミリーカー2台持ちという選択にシフトした。「我が家にはアルファスッド スプリントをヒストリックカーとして保管する車庫もなかったので、泣く泣く手離しました」と振り返る。ただしクラウディオさんの自動車愛の血は引き継がれたようで、子息のうち1人は自動車教習所の経営者となって今日に至っている。

スポーティネス ✕ デイリーユースの高度な両立

ジュニアに話を戻そう。それがデビューした途端、アルファ ロメオの精神を受け継いでいることをクラウディオさんは直感したという。「ふたたびひと目惚れしたのはフォルムです。フロントに始まりリアに至るまで、アルファスッド スプリント時代のスポーティーさがみなぎっていました」。とくにコーダ・トロンカ(裁ち落とした後部形状)は、彼の往年の愛車を彷彿とさせた。伝統を踏まえつつ新たなデザインに果敢に挑戦しているところが、アルファ ロメオらしいとクラウディオさんは話す。「同時に、妻が安心して運転できるコンパクトさとADAS(先進運転支援システム)による高い安全性も決め手となりました」

ジュニアとの生活は早くも3カ月が過ぎた。「48ボルト 21kWモーター＋3気筒1.2リッターエンジンによる145psの走りはパワフルです。スポーツ・ドライビングを標榜してきたアルファロメオの本質は失われていませんでした。ステアリングを握るたび、アルファスッド スプリントを楽しんだ過去に戻ったような気分になりますよ」と笑顔を見せた。そしてeDCT6トランスミッションについて「その静粛性とともに、加速・減速双方の滑らかさに感激しました」と語る。

彼のかたわらでクラウディアさんは、「日常使いに適したコンパクトさのおかげで、それまで乗っていた小型ファミリーカーと同様の感覚で扱えます。リアビューカメラやバックセンサーも便利。運転しているときの高い安定感も、安心につながっています」と話す。クラウディオさんの情熱をふたたび掻き立てるスポーティネス、クラウディアさんの日常使いの便利さ、そのふたつの実現がジュニアの高い満足度につながっている。

▲センターに据えられたタッチ式インフォテインメント・ディスプレイは10.25インチ。バックモニター使用時も視認性はきわめて高い。ADAS(先進運転支援システム)とともに、クラウディアさんの安心感につながっている。

▲後部は往年のアルファ ロメオのコーダ・トロンカ形状を彷彿とさせるとともに、モダンな香りを匂わせる。ラゲッジルーム容量は最大415リットル。ヴァカンスのグッズを十分に飲み込む。

パーティーの窓の外で

実はジュニアの購入は夫妻の結婚50周年、すなわち金婚式記念でもあったという。
「これから私たちの生活には時間がありますので、イタリア各地をジュニアで旅したいですね」とクラウディオさん。「とりあえず今夏のヴァカンスは州内のビーチで1週間、山でも数日を過ごすつもりです」とクラウディアさん。

ただし家族にとって最大の催しはクリスマス・パーティーだという。子どもたちや孫はもちろん、親戚一同も彼らの邸宅に集合する。「毎年総勢27人で祝うのがならわしです。そのためにラヴィオリを190個手作りしますよ!」とクラウディアさん。今年のクリスマスは、窓外にたたずむジュニアの話題でもちきりになるだろう。

▲クリスマスのスナップ。家族総出でラヴィオリを作る。

「私たちは今日まで無事故無違反です。運転技術が優れていたのではありません。幸運だったのです」と謙虚に語るクラウディオさんは、こう付け加えた。「きっとアルファ ロメオの“クアドリフォリオ”のおかげです！」。quadrifoglioとは四つ葉のクローバー。イタリアでも幸運のシンボルであると同時に、アルファ ロメオが往年のレーシングカーやスポーツモデルにたびたび用いてきた意匠でもある。なんともアルフィスタらしいコメントで締めてくれた。

「ジュニア スプリントに長く乗ったように、これからも私たちはクルマを大切に乗る主義です」。子どもたちや孫までも加えた大家族に、新たに迎え入れられたジュニア。かつてのアルファスッドと同様に、彼らの思い出を繋ぐ中心となることだろう。

▲全長は4173mm。クラウディアさんが運転しやすいコンパクトさもジュニアを選択する決め手となった。

▲Cピラーにさりげなく記されたアルファ ロメオのエンブレム、ビショーネ。

▲他地方に住むイタリア人でさえ憧れるトスカーナに住むクラウディオ&クラウディア夫妻。穏やかな郊外に、ジュニアの静けさはマッチする。