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効率や合理性が重視され、アルゴリズムやAIが導き出した「正解」が、日常のあらゆる場面に入り込んでいる現代。そんな時代に、あえて「正解よりも感動を選ぶ」と語るブランドがある。アルファ ロメオだ。

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2026年9月24日、アルファ ロメオは新たな限定車「JUNIOR Ibrida Sport Speciale」と「TONALE Ibrida Sport Speciale」の発表を記念したイベント「Una Notte Speciale」を開催。会場には、今年8月に発売されたJUNIORと、9月24日に発表されたTONALEの2台のSport Specialeが並んだ。俳優・フィルムメーカーの斎藤 工氏、DJ/音楽プロデューサーのFPM 田中知之氏を迎えて盛大に行われた発表会の模様をレポートする。

「正解」から少し外れたところに、人間らしさがある

その情熱的な夜は、バイオリニストAyasaさんの生演奏で幕を開けた。今回のイベントのテーマでもある「映画」にちなんでNew Cinema Paradiseの「愛のテーマ」を披露。やがて会場を照らすビーム演出とともに、ハードな曲調へと変化。ダイナミックなライブへと一気に様変わりするステージに、観客は目を奪われていた

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舞台は、TRUNK(HOTEL)CAT STREET。渋谷と表参道の中間に位置するその会場は、新しい文化や価値観が交差する東京のストリートカルチャーとも親和性の高い空間だ。

イベントの冒頭、アルファ ロメオ・ブランドヘッドの黒川進一氏は来場者に問いかけた。「最近、誰かが決めた『正解』で動いていませんか?」と。そして「朝起きて開くタイムライン、おすすめされるレストラン、ランキング上位のファッション、レビューで高い評価を得たホテル。アルゴリズムによって導かれる合理的な『正解』に埋め尽くされています。もちろん、それはとても便利で快適です。そしてクルマも同じように進化してきました。電動化やデジタル技術によって、誰が乗っても静かで快適、安全でスムーズな移動が可能になりました」と続けた。

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しかし黒川氏は、効率や合理性を追求するあまり、クルマが個性を失い、単なる移動手段になってしまうことへの疑問を投げかけた。
「どこか無機質で移動のためだけのツール、つまり、コモディティ化したクルマが増えていませんか? もちろん、それもひとつの『正解』です。しかし、アルファ ロメオが大切にしてきたのは、『正解』よりも『感動』。だからこそアルファ ロメオは、『アンチ・コモディティ』というメッセージを掲げているのです」と強調した。

感性を研ぎ澄ませた2台のSport Speciale

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今回の主役は、コンパクトモデル「JUNIOR」とミドルサイズSUV「TONALE」に設定された限定車、Sport Speciale(スポルト スペチアーレ)である。8月に発売された「JUNIOR Ibrida Sport Speciale」は140台限定で、メーカー希望小売価格は525万円。ボディカラーはブレラ レッド、アレーゼ グレー、センピオーネ ホワイトの3色を設定する。専用のグロスブラック+シルバーインサートのボディキットや、33ストラダーレに着想を得た18インチの「フォリ」アルミホイール、アルカンターラ/テクノレザーシートなどを備える。

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一方、この日が初披露となった「TONALE Ibrida Sport Speciale」は60台限定。メーカー希望小売価格は688万円で、ブレラ レッドを45台、アルファ ホワイトを15台設定する。ブラック加飾にシルバーアクセントを加えた専用エクステリアや、アルカンターラ/ナチュラルレザーシート、ホワイトステッチなどが特徴だ。

グロスブラックにシルバーのアクセントを組み合わせ、光と影のコントラストによって美しさを際立たせる。こちらも足元には往年の「33ストラダーレ」(Tipo 33)の系譜を感じさせる「フォリ」アルミホイールを採用。さらにブラック仕上げのブレンボ製ブレーキキャリパーが施されている。

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これらの限定車に共通するのは、歴代のアルファ ロメオにオマージュを捧げながら、そのデザインをさらに研ぎ澄ませていること。ボディの随所に施された専用パーツや乗り込むたびに視界に飛び込んでくる特別なディテールは、そのクルマを選んだことへの歓びを、一層深いものにしてくれるはずだ。

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10/24(土)-25(日) Sport Speciale フェアを開催。ジュニアとトナーレの2つの ”Sport Speciale” を体感。

映画に見る、アルファ ロメオと「矛盾」の関係

さて、この日のトークセッションのテーマは「矛盾の美学 イタリア映画とアルファ ロメオに共通する情熱」である。ゲストとして登壇したのは、俳優でありフィルムメーカーでもある斎藤 工氏だ。

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斎藤 工氏は、イタリア映画の魅力についてコメントを求められると、次のように述べた。
「美しいだけではなく、人間の醜さや欲望を隠さない。本能と知性、善と悪。そうした相反するものを、単純にどちらか一方に集約してしまうのではなく、そのまま描いてしまう。そこにイタリア映画ならではの豊かさを感じます」

黒川氏も、イタリアに住んでいた経験を振り返りながら、人間の矛盾が日常の中に自然に存在していることを語った。
「たとえば、友人と話しているときに理不尽なことが起きても、互いに言い合い、そして『ヴァ・ベネ(Va bene)」』(「まぁ、いいか」という意)といって最後には一緒に食事をする。そしてまた明日につながっていく。そんな映画の一コマみたいなところはあったと思います」と振り返った。

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興味深かったのは、斎藤 工氏自身も、自らの作品において、そうした人間の矛盾や二面性を描くことを大切にしているということだ。
「正義の反対は悪ではなく、もうひとつの正義であるという感覚が僕にはあります。一人の人間を善か悪かに分類するのではなく、その人の内側にある矛盾や葛藤まで含めて描くことを肝に銘じています。今回、あらためてアルファ ロメオが登場する映画を見直して、イタリアの映画でも正義と悪が明確に分かれているわけではないことを気付かされました」

「対話の余白」と「光と影」

黒川氏は、斎藤 工氏の作品『blank 13』を観て、アルファ ロメオにも通じるものを感じたという。それを象徴するキーワードとして挙げたのが、「対話の余白」と「光と影」だ。映画では、ストーリーのすべてを説明しきらず、観る側の解釈に委ねることがある。あえて残された「余白」があるからこそ、観客は自ら考え、作品に入り込むことができる。そこに、観客と作品との「対話」が生まれるのだ。

そしてその「余白」から生まれる「対話」は、アルファ ロメオのドライビング体験とも重なる。コーナーへ進入した際、クルマからドライバーへフィードバックされる、いわゆるインフォメーションの濃さは、アルファ ロメオが随一と称される部分だ。ドライバーはそのフィードバックを元に、次の運転操作へとつなげる。そこにドライバーとクルマの「対話」が生まれる。すべてを電子制御で完結されるのではなく、ドライバーが介在する余地を残す。そのドライバーとクルマの関係値が、ドライビングの実感や愉しみにつながる。アルファ ロメオのクルマが人間的と言われる所以もそこにある。

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斎藤 工氏も自身がクルマに触れてきた経験を振り返り、続けた。
「僕の世代は、マニュアルで免許を取るのが当たり前の時代でしたが、クルマにはもっと個性があったように感じます。厄介であればあるほど、クルマと対話をしているような気になったし、効率性よりも、味のようなものを求めていた世代なのかなと思います。黒川さんがおっしゃるように、効率を求めることやAIを使うことが悪いことではないと思いますが、効率性を追求している限りは巡り合わないであろう“はみ出た部分”というか、アナログ感覚の何かが、人を魅了するということがあるように感じます」

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もうひとつのキーワードとして挙げられたのが、「光と影」だ。映画では、登場人物の心理を描くために陰影が用いられることがあるが、実はアルファ ロメオのデザインにも、光と影の演出が施されている。日の光の下では、鮮やかでスタイリッシュに見える一方、暗い場所で光を浴びると、どこか妖艶な雰囲気を漂わせたり、色気を感じさせたりするなど、違った表情を見せることがある。それは、アルファ ロメオ チェントロ・スティーレの熟練のデザイナーたちが、光を受けたときのボディの面や陰影まで意識して造形しているからこそ生まれるものだ。

映画の中で存在感を放つアルファ ロメオ

斎藤 工氏は、アルファ ロメオについて、次のように感想を語った。
「映画の中のアルファ ロメオって、単なるクルマではなく、登場人物の色気や情熱を表現する存在として描かれている気がするんです」

紹介された作品のひとつが、1967年の映画『卒業』だ。劇中にはアルファ ロメオ スパイダー デュエットが登場する。斎藤 工氏は、このクルマを単なる移動手段ではなく、ダスティン・ホフマン演じる青年が、周囲から『正解』とされる人生から少しずつ逸脱し、自由を求めていく姿を象徴する存在として捉えている。
「主人公の青年は、それこそ正解というものからはみ出ていく。どんどん理解者がいなくなる青年に対して、唯一の理解者が、このクルマなんじゃないかと。彼が唯一の自由を手に入れる術というのは、このクルマに乗っている時だけだったなという印象があります。これはクルマが登場する映画というよりは、クルマが“出演者”の映画なんじゃないかなと思いますね」

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一方、1969年の『さらば恋の日』では、伝説的な「33 ストラダーレ」(Tipo 33)が登場する。

Tipo 33は、2023年に現代版33 ストラダーレがリバイバルしたことでも話題になったが、60年代に登場したオリジナルモデルも非常に完成度の高いデザインを採用しており、自動車専門家からは“世界でもっとも美しいロードカー”などと高く評価された。今日発表された限定車のSport Specialeも、このTipo 33を着想の元としたホイールを採用している。

斎藤 工氏は、Tipo 33が、クルマ1台が通るのがやっとの細い石畳の道を疾走していく姿にも強い印象を受けたという。
「映画の中で、あることに折り合いをつけないといけない青年が、その節目に線を引くような意味合いとして、このクルマが登場している気がします。その境界線を越え、その先に進んでいいのか。アルファ ロメオの登場が象徴的に表現されているように感じました。作品に描かれる禁断の愛は『卒業』と似ているんですけど、禁断の愛とアルファ ロメオは必ずしもイコールではないと思うんです。ただ、そこにある情熱の溢れ加減というのは、共通するものがありそうな気がしますね」

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映画音楽から見えてくる、もうひとつのイタリア

ここでトークセッションに加わったのが、FPMとしても知られるDJ/音楽プロデューサー、田中知之氏だった。田中氏は、イタリア映画音楽との出会いが自身のDJ活動の原点のひとつだったと語る。
「1960年代から70年代初頭のイタリア映画音楽には、ボサノバやブラックミュージックなど、海外から取り入れた音楽をイタリア独自の感性で加工し、アウトプットする面白さがありました。そこには、どこかB級映画的なユーモアや遊び心もあるんですね」

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「90年代の中頃でした。当時、“渋谷系”という言葉が生まれ、渋谷でレコード買ったり、DJしてたりしたアーティストが、世界でちょっと注目を集めたんです。本当に短い期間でしたが(笑)。僕らもその時にラッキーなことに世界の音楽好きな人に見つけてもらい、イタリアの映画音楽などを、自分らのレコードバッグの中に携えて、世界各地をDJをしに巡ったことがあります」と当時を振り返った。

映画、音楽、そしてクルマ。ジャンルは違っても、既存の価値をそのまま受け取るのではなく、自分たちの感性で再解釈し、新たな魅力として提示する姿勢には共通点がある。正解や効率だけでは捉えきれないものに目を向け、そこから生まれる個性や情熱を大切にする。そんな姿勢こそ、アルファ ロメオやイタリア文化に通じるものであり、人々を魅了してきた理由なのかもしれない。

正解から少し外れてみる。

トークセッションの最後に斎藤 工氏は、次のように語った。
「今日までのアルファ ロメオの歴史を僕なりに振り返ってみると、合理性ばかりを追求していたら、きっと時代時代の顔にはなっていなかったんじゃないかなと思うんです。
今は効率重視というか、“正解”を簡単に手に入れられ、それが選ぶことを良しとするような時代ですよね。でも、文化として積み上がってきたものに目を向けると、正解ではないところに、人間の本能や“コク”のようなものが埋まっているんじゃないかと思うんです。そこを失ってしまえば、みんな同じ顔、心の表情まで同じになってしまう。そんな時代だからこそ、アルファ ロメオの存在は、これからさらに象徴的になっていくんじゃないかなと思います。僕自身も正解だけを選びすぎないように、作品づくりをしたり、演じたりしていきたい。今夜は、そんなことを考えるきっかけになりました」

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それを受けて黒川氏は、斎藤 工氏の映画や、田中氏の音楽と同じように、アルファ ロメオも乗り手、ドライバーがクルマとしっかり対話ができるような存在、ブランドであり続けたいと述べた。

映画、音楽、そしてクルマ。ジャンルは違っても、そこには「人間の感性に委ねる余白」がある。3名によるトークショーは、そんなことを改めて認識させてくれる内容だった。

クルマを中心に、五感でイタリアを感じる夜

会場では、トークセッションのほかにも、イタリアを五感で楽しむための演出が用意された。そのひとつが、パルミジャーノ・レッジャーノDOP ( Denominazione di Origine Protetta : EUが定める農産物の原産地呼称保護制度のイタリア語での略称)の普及・啓蒙活動を行っているパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会による、同チーズのホイールカット・パフォーマンスだ。イタリアを代表するパルミジャーノ・レッジャーノDOPは、北イタリアの限られた地域でのみ作られ、約1000年にわたって受け継がれてきた伝統製法によって生まれるナチュラルチーズだ。

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会場では、24ヶ月熟成のパルミジャーノ・レッジャーノDOPが、 ホールの状態で持ち込まれ、約40kgあるその塊を目の前でカットする様子が披露された。イタリアで結婚式や特別な催しのときに行われるパフォーマンスという。カットしたばかりのパルミジャーノ・レッジャーノDOPを皆で味わい、その時間を共有する。その儀式が会場で再現されたのだ。

そしてそんなチーズといえば、ワインとのペアリングである。そこで用意されたのが、イタリア20州からセレクトしたワイン。数も圧倒的だが、好みのワインを提案してくれるソムリエまでついた。日本で地域ごとの日本酒を選ぶように、イタリア20州それぞれの個性をワインから楽しむという趣向だ。

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そして極め付けが、FPM 田中知之氏のDJだ。トークショーで話題に出た楽曲をはじめ、イタリアにゆかりのあるナンバーなど、田中知之氏ならではの選曲によって、アルファ ロメオの世界観が表現された。

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見る、聴く、口にする。まさに五感でイタリアを感じてもらう、そんなイベントの趣旨が滲み出た一夜となった。クルマを中心に映画、音楽、ワイン、チーズ、そして人の会話が交差し、アルファ ロメオが大切にする「感性」や「感動」が会場を満たしていた。

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アルファ ロメオが掲げる「アンチ・コモディティ」とは、単に他とは違うクルマを選ぶことではない。誰かが決めた「正解」ではなく、自分の感性で選び、その選択を自ら楽しむこと。時に正解から少し外れてみる。そこではじめて出会える歓びこそが、アルファ ロメオが追い求めているものなのかもしれない。

10/24(土)-25(日) Sport Speciale フェアを開催。ジュニアとトナーレの2つの ”Sport Speciale” を体感。
Text: 曽宮岳大

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