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ジュニアの登場で、2025年はアルファ ロメオへの注目度があらためて高まった年となった。その勢いは2026年にいかに継ながれていくのか。
元「LA VITA」の須田祐司シェフによる会員制トラットリアの寛いだ雰囲気の中で、Newモデルの日本市場導入などホットな話題を、自動車ライター 嶋田 智之さんが、アルファ ロメオ事業部 黒川 進一 ブランドヘッドに尋ねた。

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嶋田 昨年もたくさんアルファ ロメオに試乗させていただきましたけど、既に導入されているモデルにも目に見えないところにずいぶん手が入ってる感じがして、既存のどのモデルも進化してるような印象です。待望だったジュニアも導入されました。2025年のアルファ ロメオを振り返ってみて、いかがですか?

黒川 おかげ様で、とても好調でした。言うまでもなくジュニアの導入が大きいのですが、前年と比べて171%。欧州ブランドの中では段トツと言える伸び率をマークすることができました。

嶋田 171%! それは凄いですねぇ。ジュニアが好調だということはあちこちから聞こえてきてたんですけど、まさかそこまでとは! 実は個人的に、ほんの少しだけ心配してたところもあったんです。ひさしぶりのコンパクトなアルファ ロメオだという期待感はあるけれど、トナーレが先陣を切ってるとは言え、ジュニアもバッテリーEVとマイルドハイブリッドの2本立てで、モーターが介在するっていうことだけで拒否反応を示す人がまだまだいるから、さて、どうなるんだろう? と。乗ってみればとてもアルファ ロメオらしいクルマだって実感できるとは思うんですが……。

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黒川 おっしゃるとおり、この時代にあって、両方のパワートレインどちらもが本当にアルファ ロメオらしいクルマに仕上がってますよね。なので、私たちはジュニアの導入にあたって、アルファ ロメオというブランドのコンセプトはいったいどこにあるのか、アルファ ロメオがお客様に提供できる価値とはいったい何なのか、最初からもう一度洗い直してみることにしたんです。いろいろと議論はしたんですが、とてもシンプルなところに落ち着きました。ひとつめは、官能性。数値に表れることはないけれど、走らせてみると自然に楽しさや気持ちよさが感じられる、すごく心がくすぐられる、あの“アルファ ロメオ”感。ふたつめは誰もが瞬間的に目を惹きつけられて、“カッコいい”“美しい”と感じられる、印象的なデザイン。そして、そのどちらの根っこにもある、長い歴史が培ってきたアルファ ロメオならではのDNA。そうしたストーリーを、コミュニケーションの中に必ず織り込むように留意しました。

嶋田 アルファ ロメオは、まさにそこだと思います。個人的にはプレミアム性がどうのとか、そういうのはどうでもよくて(笑)、まさしくそこに尽きると思ってます。

黒川 実際には既存モデルも含めて、ほかにもいろいろな施策を打ってはいるんですけど、そこをお話ししてもナマになっちゃうだけだから(笑)触れませんけど、私たち自身がアルファ ロメオってどういう存在なのかを見つめ直し、浮かび上がってきたことをシンプルにお伝えしようと動いてきたことで、皆さんにもアルファ ロメオというブランドの本質的な持ち味をあらためて認識していただけた、と感じています。私たちは世の中の80%とか90%の人が欲しいと考えるようなコモディティブランドではないし、アルファ ロメオを合理的に選ぶ理由ってあんまりないですから(笑)、それが正しいのかな、と。

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嶋田 171%とおっしゃいましたけど、伸びた分の何割ぐらいがジュニアなんですか?

黒川 半分弱ぐらいですね。

嶋田 ということは、ジュリアもステルヴィオもトナーレも、ちゃんと売れていたということですね。

黒川 はい。中でもジュリアは前年、前々年と同じくらい売れてます。トナーレも、プラグインハイブリッドは少し落ちましたけど逆にマイルドハイブリッドが健闘して、キープできました。2025年は、全体的に結構いい感じでした。実は去年、最初に掲げていた私たちのテーマは“復活”だったんです。2025年はへび年で、へびは脱皮を繰り返すことからへび年は“復活と再生”を意味する年と言われていて、アルファ ロメオはビショーネだし(笑)。それはある程度うまくできて、2026年につなげることができました。

嶋田 2025年のテーマが“復活”なら、2026年はどうなるんですか?

黒川 復活の継続という側面もあるんですけど、ひと言で表すなら“進化”ですね。実はそれ、アルファ ロメオのグローバルのメインテーマでもあるんです。

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嶋田 クルマそのものの“進化”ならば、去年のうちからもうはじまってますよね(笑)。ジュリアとステルヴィオに関しては導入から何年も経ってることもあって、去年と言うよりさらに前からですけど、どんどん熟成が進んできていて、クルマとしての完成度がめちゃめちゃ高くなってる。洗練された部分と、アルファ ロメオとしての走る楽しさが膨らんでる部分とがあって、今がいちばんいい状態。いちばんの買いどき、だと思ってます。驚いたのはトナーレで、先日、限定車のインテンサに試乗させていただいたんですけど、以前のトナーレ ハイブリッドと較べて、同じマイルドハイブリッドモデルなのに、あきらかに速くなってる。

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トナーレ ハイブリッド インテンサ (欧州仕様車)

黒川 私は普段、少し前のトナーレに乗ってるんですけど、嶋田さんがそうおっしゃるので乗ってみたら、たしかに違うんですよね。

嶋田 2022年の国際試乗会のときに、CセグメントのSUVの中では断トツで気持ちよく走れるモデルだって感じて、その印象は今も変わってないんですけど、そこに感覚的には10%ぐらい速さが増した感じ。もともとスピードを追求するような作りになってないからものすごく速いってわけじゃないけど、得られる速度は充分だし、何よりサウンドやフィーリングから来る爽快感が濃厚で、ハンドリングのキレも抜群にいいし、僕は充分に魅力的だってずっと感じてたんです。それが全体的に洗練されて、パフォーマンスが上がってる実感もある。ステランティスの試乗車が途中からプラグインハイブリッドのみになって、しばらくぶりのマイルドハイブリッドだったから感覚が狂ってるのか? って何度も自問自答したんですけど、いや、間違いなくかなり進化してるんですよね。でも、アルファ ロメオからは何のアナウンスもないし、スペックシートの上での変化もないわけです。これって年次改良によるものなんでしょうか?

黒川 年次改良って、時としてそういうことが起こるんですよね。でも、実は私たちもわからないんですよ。日本の自動車メーカーだと“◎◎を一部改良”ってプレスリリースを出すことも多いですけど、アルファ ロメオは──というかステランティスのイタリア系ブランドは余程のことでもない限りそういうことをアナウンスせずに、当たり前のように改良してくるので。

嶋田 あれから本国のメディアサイトはもちろん、あっちのマニアックなサイトとかも調べに調べて、それでもいつ何かどう変わったかはわからなかったんですけど、唯一、燃費のデータがごく微妙に変わってることを発見して、ということはエンジンの制御系に手が入ったのかな? なんて思ってるんですけど……。

黒川 そのくらいのことだと大々的なアナウンスはないですよ。私たちのところにも知らせがないくらいなので(笑)。

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嶋田 トナーレは、本国ではすでにフェイスリフト版が発表されていて、そちらのマイルドハイブリッド版は175psにパワーが上がってるわけですけど、ちょうどその分ぐらい速さが増してる感じなんですよね。インテンサの室内の一部がフェイスリフト版と同じように変更されてたりもするから、もしかしてエンジンも? なんてあり得ないようなことを考えちゃいました。

黒川 実はそのフェイスリフト版を、今年は日本に導入します。そんなに先の話じゃないですよ。インテンサに乗ってみて、フェイスリフト版のマイルドハイブリッドは少なくとも同じかそれ以上の走りを提供してくれることが確信できて、それに持ち前のハンドリングの素晴らしさもあるわけで、絶対にいけるぞ、しっかりリローンチしよう、と考えてます。

嶋田 もともと誰かが言い出して広まっちゃった“あんまり速くない、イコール、アルファ ロメオらしくない”っていうワケのわからない誤解が足を引っ張ってたようなところがありましたしね。僕はこれまでいろんなところで書いてきちゃったけど、アルファ ロメオのプロダクションモデルがクラスの中でいちばん速かったことなんて歴史上一度もないし、そもそもアルファ ロメオはそんな刹那的なところなんて目指してなくて、どれだけドライバーを歓びと官能の渦に巻き込むかに命を賭けてるようなところのあるブランドですから。トナーレは充分にアルファ ロメオらしいクルマですよ。それにプラスして、誤解のもとになった部分を強化したモデルが導入されるっていうのは、とっても喜ばしいですね。

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黒川 2026年以降のことについてお話しできることだけお話ししますと、世界限定63台の特別仕様車も日本に入ってきます。台数が限られてるので、おそらく抽選販売になるかと思います。

嶋田 もしかして、クアドリフォリオ コレツィオーネですか? これまで先日試乗させていただいたジュリア クアドリフォリオ エストレマと同じ、520ps試乗のパワートレーンを積んだモデルですね。エストレマも、2019年に日本にたった6台だけ入ってきたジュリア クアドリフォリオ F1トリビュートと同じでトップエンドの最後のもうひと伸びが最高に気持ちいいモデルでした。パフォーマンス的には、おそらくそれと同じでしょうね。素晴らしい! そういえば、本国ではコレツィオーネの次に、同じ520psに新デザインの専用エアロを組んだ世界限定たった10台の“ルナ ロッサ”が発表されてますけど……。

黒川 そちらは残念ながら欧州専用モデルなので、日本には入りません。それに発表とほとんど同時に売り切れちゃってますし。

嶋田 そういえばクアドリフォリオって、ジュリアもステルヴィオも、去年の2月に生産終了がアナウンスされて、9月に生産終了になって、でも最近になって再生産のアナウンスがありましたよね。たしか2026年の4月から、だったかな?

黒川 再スタートは6月からです。今のところ欧州向けとして、ですけどね。この先どうなっていくのか、どうしていけるのか、まだ何とも言えないですけど、日本にも再導入したいと思っています。ああいう設計のああいうクルマって、もう世の中にほとんど残ってないですから。ワン&オンリーでしょう。

嶋田 あっ! 考えてみたら、限定車じゃないクアドリフォリオは、もしかすると日本ではディーラーが在庫してるクルマのみで終売っていう可能性もあるわけか。欲しいと思ってる人は急がないといけないですね。ちなみに、通常のジュリアとステルヴィオはどうなんですか?

黒川 そちらはこれまでとおり販売を継続することになってます。

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嶋田 2024年の1月に当時のジャン=フィリップ・インパラート前CEOとお会いしたとき、2025年から2026年にかけてジュリアとステルヴィオを順番にフルモデルチェンジさせるとお聞きしたんですけど、その後、ステランティス全体が電動化戦略を見直すことになって、その影響でフルモデルチェンジの時期も変更になったのでしたね。すると……2027年、ですかね?

黒川 それについては今の段階では何ともいえないんです。この2026年ではない、というということだけお伝えしておきましょう。電動化に関してはもちろん避けては通れないけど、この先、電動化だけで行くってことはないだろう、っていうことも。いや、電動化モデルは電動化モデルで、走らせてみると楽しいんですけどね。モーター駆動のモデルであっても、乗れば間違いなくアルファ ロメオ、ですしね。

嶋田 まったく同感です(笑)。ジュニアのエレットリカも、ほかのブランドの姉妹といえるモデルたちと同じプラットフォーム、同じパワートレーンを使ってるはずなのに、乗ってるときの感覚はアルファ ロメオ以外のなにものでもないですからね。ジュニアはバッテリーEVの方が完成度が高い、って感じてるぐらいですから。……いや、お話を戻して、ジュリア クアドリフォリオのコレツィオーネはいつの発表ですか?

黒川 トナーレのフェイスリフト版とほぼ同じタイミングです。実はジュニアの台数限定の特別仕様も作っていて、3モデル同時に発表したいって考えてるんですよ。それぞれクラスもターゲットも異なるんですけど、アルファロメオのドライビングプレジャーというものに対するメッセージというか、DNAは共通してるわけですから。

嶋田 今の段階でお話いただけることだけでも、結構話題が豊富ですね。お話ししながら、聞いてるモデルはタイミング的には2026年の上半期だろうって僕は予想してるから、下半期には何があるんだろう? なんて考えちゃうわけです(笑)。今年のアルファ ロメオは“攻め”の1年になる、と思ってていいですか?

黒川 “攻め”、です。試乗会のときなんかにクルマから降りてこられる人の表情を見ると、決まって笑顔で、それって素晴らしいことだと思うんです。私たちのチームは皆、そういうクルマを扱いたいな、って感じてます。そういう世界観を持ったクルマを多くの人に深く味わっていただいて、毎日を快く過ごしていただきたい。それが私たちの目標ですね。

嶋田 ものすごく期待してます(笑)

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黒川進一 (右)
Stellantisジャパン

イタリアン事業部 ビジネスヘッド くろかわしんいち / 20年以上を日本の自動車メーカーに従事。営業/マーケティングを中心に商品企画やブランディングのプロジェクト等を担当。海外経験も豊富でイタリアに4年間在住。現在は茅ヶ崎に住む、趣味はサーフィン、料理

 

ご協力いただいた須田シェフのトラットリア店内の様子

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Text: 嶋田智之
Photo: 望月勇輝(weekend.)

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