さらなる高みのために
日常のささやかな輝き。それがあることで、仕事で持てる力を発揮することができたり、ハードルを乗り越える力になったりすることがある。クルマ好きにとってそれは、クルマそのものだったり、あるいはドライブ中に流れゆく風景や車内で過ごす時間、旅先へ向かう際のワクワク感かもしれない。さらに上の刺激を求めるのもいいだろう。日常の限られた時間をより質の高いものにするために、非日常や究極を求めるのは自由だ。
アルファ ロメオがジュリアとステルヴィオにラインアップする高性能モデル、クアドリフォリオを所有することも、そのような日常に“究極”を取り込む体験となるだろう。たとえ日常の大部分が街中をゆったり走るだけであっても、アクセルを踏み込む際に轟く快音や、いざという時に溢れ出るパワー感、またそれを内に秘めているという満足感が心を満たしてくれるに違いない。

究極を日常に取り込む。その世界観でつながる今回のコラボレーション・パートナーのsimdrive(シムドライブ)。東京・東麻布という都心のど真ん中で展開するその会員制ドライビングラボは、F1チームや自動車メーカーさながらの本格ドライビングシミュレーターの体験を会員向けに提供している。

アルファ ロメオでは、「ジュリア クアドリフォリオ」ならびに「ステルヴィオ クアドリフォリオ」のカスタマイズプログラム「ALFA ROMEO DESIGN YOUR QUADRIFOGLIO」を期間中に成約・登録された方を対象に、simdriveの施設で日本を代表するサーキット、富士スピードウェイや鈴鹿サーキットで「ジュリア/ステルヴィオ クアドリフォリオ」の走りを体験できる「Alfa Romeo Driving Laboratory」を展開している。この特別な本格ドライビングシミュレーターを、アルファ ロメオのプロダクトマネージャーの瀧川可奈子氏と、ブランドマネージャーの鈴木美生子氏が体験。simdriveの本格たる所以や、実際に経験した感想を紹介する。

サーキット以上の体験を
simdriveは、レーシングドライバーの藤井誠暢(とものぶ)選手が、これまで一般的には体験しえなかった本格ドライビングシミュレーターを、都心のアクセスしやすい立地で提供すべく、2023年4月にオープンしたドライビングラボ。日本では高性能スポーツカーの人気が高く、数多くのモデルが販売されているにもかかわらず、それらをサーキットで体験できる環境は限られ、楽しむためのハードルは高い。またサーキットまで足を運んだとしても、ドライビングに対する理解が不十分だとリスクが大きいという観点から、ドライビングの基礎を学ぶことは重要だ。
こうした状況を鑑み、藤井選手は、週末など空いた時間に気軽に体験でき、かつサーキット以上の体験を提供する場として、simdriveを開設した。

▲国内外のトップカテゴリーレースで活躍中のレーシングドライバー。SUPER GTではチームのマネージングディレクターも務め、今季優勝も飾っている。
simdriveで“サーキット以上の体験ができる”という理由のひとつは、確度にこだわった充実した設備によってもたらされる。simdriveのドライビングシミュレーターは、eスポーツで使われるシミュレーターとは異なり、実車さながらの忠実な挙動の再現にこだわっている。一般的にeスポーツのそれは、クルマの挙動が実車のそれとは異なるため、eスポーツが上手な人と、実車のドライビングが上手な人はイコールではないという。simdriveでは、ヨーロッパのエンジニアリング会社と協力して車両のデータを作り上げ、さらにプロのドライバーが実車との乗り比べを通じて、実車に近い車両の挙動を実現。その結果、プロのレーシングドライバーが乗ると、実車でサーキットを走った場合とほぼ同タイムというハイレベルな再現性を実現している。仮に実車のフィーリングと違うと感じる場合には、さらに実車の感覚に近づくように個別に合わせ込みを行っていくという。

使用するシミュレーターは完全なる専用設計で8つのモーションセンサーを搭載。ブレーキにはブレンボのキャリパーを採用しており、液圧で実車に近い制動フィーリングを追求している。たとえばブレーキングをすると、その強弱に応じた擬似的なGがドライバーに伝わる仕組みとなっている。
さらにsimdriveでは、テレメトリールームと呼ばれるスペースにエンジニアが常駐し、ドライバーの走行データはエンジニアのモニターにライブで映し出される。オペレーターはそれを見ながら、リアルタイムでドライバーに理想のドライビングに向けたアドバイスをしてくれるのだ。たとえば、「ブレーキの踏み込みが弱いです」や「もう少しイン側のラインを通ってください」といったアドバイスを無線で聞きながら、ドライバーは正しいコントロールを目指して運転と向き合うことができるのだ。

このようなデータロガーに基づいたドライビングの解析は、実際のレースでは通常レース後に行われる。しかしsimdriveではドライビングスキル向上という側面に光を当てているため、これをリアルタイムでドライバーに提供することで、効率的にドライビングのスキルアップを実現できるのだ。実際にsimdriveの会員の多くは、ここでプラクティスやコース慣れをした上でサーキット走行を楽しみ、効率的なスキルアップに繋げているという。
ドライバーの走り方やクセをテレメトリーで分析
藤井選手によると、ドライビングシミュレーターを用いたトレーニングは、実際のレースの現場でも使われており、たとえばル・マン24時間レースでは、フランスのシミュレーション施設でトレーニングを受け、それをクリアしないとレースに参加できないという。このようにドライビングシミュレーターはレースの現場でも使用されるほど効果が高いものの、施設の数が非常に限られ、しかも一般向けに解放されていないため、それを体験することは難しいのが現状という。そこでsimdriveでは、ヨーロッパなどで使用されているものと同等の本格ドライビングシミュレーターを都心で実現した。

ジュリア クアドリフォリオは非常に速く、楽しいクルマではありますが、その性能を引き出すには正しいドライビングスキルの習得は不可欠です。サーキットでのハンドル操作やブレーキングは、経験しないと身につけるのは難しく、間違えた操作を行なっている方がほとんどです。上達のためにはプロのドライバーのアドバイスを受けるのが手っ取り早いのですが、実際のサーキットエクスペリエンスなどでは我々が講師をやっても、参加者の方が大勢いらっしゃる中で、1人ひとりのドライビングを事細かに見ることは難しいのが現実です。その点、ドライビングシミュレーターでは、運転の癖や特徴、いい部分や直した方がいいところなどがテレメトリーやプロのエンジニアによって分析され、個人レッスンのようなかたちで学ぶことができます。ですからAlfa Romeo Driving Laboratoryに参加される方は、納車前にクアドリフォリオのパフォーマンスへの理解を深めたり、正しいドライビングスタイルやステアリングの握り方を学ぶことができるのです」と藤井選手。

▲藤井選手と共にAlfa Romeo Driving Laboratoryをナビゲートするレーシングドライバー、ケイ・コッツォリーノ選手。
さて、それでは実際に体験した瀧川氏と鈴木氏の声を聞いてみよう。プロダクトマネージャーの瀧川氏は、前職で自動車メーカーのエンジニアや商品企画を務め、テストコースや一般道でのクルマの評価に携わる機会を重ねてきたキャリアの持ち主。一方、鈴木氏は、社会人になって以来、運転歴はそれなりに積み重ねてきたものの、スピードに対する恐怖心が強く、運転に対しては非常に慎重派。そうしたバッググランドの異なる2人が今回のドライビングシミュレーターの体験で何を感じたのか。

ドライビングシートに収まり4点式シートベルトを着用し、ステアリングに手を添える。視界を取り囲む大型モニターに圧倒され、瀧川氏は「非常に本格的でドキドキしますね。視界が車内そのものです。エンジン音も聞こえてくるので、これから始まることに今からワクワクしています」と興奮を隠せない様子。
ふたりが試すのは富士スピードウェイ。FIAのグレード1サーキットをジュリア クアドリフォリオで走る。忠実に再現された1周約4.5kmのコースで、ストレートでは最高250kmの速度を体感した。

▲アルファ ロメオ プロダクトマネージャーの瀧川可奈子氏。
ドライビンシミュレーターでは、プロのレーシングドライバーが通る理想のラインを画面上に表示することもできる。さらにドライバーに一人ずつつくエンジニアから走行に関するアドバイスが伝えられる。
「右コーナー長く、ゆっくり曲がっていきます。次、黄色い看板見えてきて、ここからブレーキです」
「今のブレーキですと踏力が足りてなく減速が不十分でした。ブレーキペダルを少しずつ奥に押し込んでいくイメージで踏んでみてください」
このようなエンジニアのアドバイスをリアルタイムで聞きながら、“正解の走り”に自分のドライビングを近づけていくことができるのだ。

本格ドライビングシミュレーターを体験した率直な感想は?
瀧川氏
「ドライビング中はただただ楽しかったのですが、身体はとても疲れました。ブレーキングは本当に全身の筋肉を使っている感覚です。周回を重ねるうちに最初は曲がれなかったコーナーを、エンジニアの方のアドバイスに従うことで、1回のセッションだけで曲がれるようになったのは感動でした。実際のサーキットではコースのレイアウトや加減速のポイントなどを頭に叩き込んでからでないと怖くて走れず、ハイスピードを出すのは難しいと思います。ですが、ここではエンジニアの方が“ここでアクセル”、“はい、ブレーキ”、“この先左です”と教えてくれるので、安心して言われた通りにやればよく、楽に上達できた気がします。エンジニアさんから“アクセル全開です”って言われたときには、“やった! 踏める!”と、本当に嬉しかったです(笑)」

鈴木氏
「すごく疲れました。いま手に汗握っています(笑)。200キロ以上の速度を出すとこんなに緊張感があり、しびれるのだということを初めて体感しました。また、ドライビングについては普段の社内トレーニングで、ブレーキが踏めていないと指導されることが多いのですが、どのくらい踏まなければならないのか、それが何故できなかったのかを理解できたのは大きな収穫でした。」

▲アルファ ロメオ ブランドマネージャーの鈴木美生子氏。
Alfa Romeo Driving Laboratoryでは、それを体験した方にどのような経験やメリットをもたらすと思うか?
瀧川氏
「そもそもクアドリフォリオをご購入されるお客さまは、クルマがお好きで、性能に対する期待も大きいと思います。一方で実際のお客さまの声を聞くと、普段乗りに使われている方がほとんどです。日常では、限界性能やアクセルやブレーキを100%引き出すといった経験を得ることは難しいと思いますので、この機会にその性能や走りを体感し、さらにレーシングドライバーの方とのコミュニケーションを通じてドライビング上達のコツを習得し、愛車のことをより好きになっていただきたいですね」

鈴木氏
「ニュースなどの報道では事故が起こった際、それがスポーツカーだと、そういうクルマに乗っているから危ない、というようなイメージを持たれる方もいらっしゃると思います。でも実際はそうではなく、しっかりと運転の仕方、扱い方を知識として身に付けたうえで運転すれば、安全に楽しんでいただけると信じています。今回のキャンペーンでは、そのような機会をアルファ ロメオに乗ってくださる、ブランドを愛してくださる方々に提供したいという思いがありました」

アルファ ロメオ、あるいはクアドリフォリオ・モデルを所有するという体験によって何が得られると思うか?
鈴木氏
「クルマの使い方は様々だと思います。人によっては機能性を重視され、目的地に移動できればいいという考えもあるなかで、あえてアルファ ロメオを選ぶ。そこには走りに強く共感されたり、刺激を求めて購入される方が大半だと思います。もしかしたらお客さまは普段すごく忙しくされていて、仕事でストレスを抱えているかもしれません。だとしたら、アルファ ロメオに乗っていただくことでストレスの発散になったり、逆に刺激を求め、アグレッシブになる機会を望まれているかもしれません。そうした様々な状況のなかで、アルファ ロメオに乗ることで普段とはちょっと違う自分になれたり、違う環境を自分の中に取り込むことで、日常が変わる体験を味わっていただけたらと思っております」

瀧川氏
「今回simdriveで経験させていただいた究極の走りをすることは日常ではまずないので、得られる刺激は最も強く、質も高く、得られるドキドキの中で最上級に位置づけられると思います。クアドリフォリオ・モデルを所有するという体験も同様で、普段はゆったりショッピングに行く時に使われるのかもしれませんが、“あのときにすごい走りをしたな”と、そういう経験やワクワク感というのは後から思い返すことができると思います。そうした刺激や可能性を持つことは、その方に特別な意味をもたらすと思いますし、それがあることで所有に対する満足感が上がったり、日常が輝いて見えると思います。ぜひアルファ ロメオがもたらすアドレナリンを味わっていただきたいと思います」

最後にAlfa Romeo Driving Laboratoryの参加者や、アルファ ロメオに関心をお持ちの方にメッセージをお願いします。
瀧川氏
「今回のAlfa Romeo Driving Laboratoryは、成約特典というかたちではあるものの、プラスアルファでついてくるおまけのようなものとは明らかに異なる体験になると確信しています。アルファ ロメオだから、クアドリフォリオだから実現する特別な体験として、それもこのクルマを所有するひとつの価値として見ていただきたいですし、参加される方は、楽しめることは確実なので、目一杯お楽しみくださいとお伝えしたいです」
鈴木氏
「皆さまには、アルファ ロメオのある生活の、一つひとつの瞬間を楽しんでいただきたいと思います。アルファ ロメオに乗っていたからこんな体験ができたというワクワク感を感じていただきたいと思っています」

扉の奥にある非日常。ドアを開いたその先には、これまでと違う景色が待ち受けているはずだ。
Text: | 文 曽宮岳大 |
Photo: | 写真 望月勇輝(Weekend.) |