2025.2.28
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ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオの2台のアルファ ロメオを所有されている細川盛弘さん。プラントエンジニアや営業技術のお仕事を経験されてきた理系出身の細川さんは、アルファ ロメオのエモーショナルな部分だけでなく、メカニズムとしての完成度にも関心を向ける。19歳からアルファ ロメオ一筋の細川さんの眼に、ジュリア クアドリフォリオやステルヴィオはどう映っているのか。

オートマチックに“負けた”瞬間

―最初にアルファ ロメオを所有したのが19歳とのことですが、その若さでアルファ ロメオを選んだ理由から教えていただけますか。

「バイト先の先輩がアルファ ロメオ(1600ジュニア)に乗っていて、ある日リアシートに乗せてもらったんです。最初は普通に走っていた先輩が走り出してしばらくして、油温計だか水温計に目をやり『そろそろいいかな』と発した瞬間、急にアクセルの踏み込み量が増して運転がアグレッシブに変わったんです。その時の走りにすごい衝撃を受けまして。そこでアルファ ロメオへの憧れが芽生えたんです」

250219_AR_Hosokawasan_02_59-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

―そこからずっとアルファ ロメオを乗り継いでこられたということですが、他に目移りせずにアルファ ロメオ一筋でこられた理由は何だと思いますか?

「アルファ ロメオにここまで深くハマった理由は、やはり乗り味。運転しているときの楽しさですね。“このままアクセルを踏み続け、異次元の世界へ行ってしまえ”と思うような高揚感を与えてくれる。どこまでも回り続けそうなエンジンフィールがまず第一に好きなところです。あとはよく言われる音。そしてコーナーを曲がるときにステアリングから手に伝わる操舵感は軽やかなのにタイヤが路面を捉えている感覚もしっかり伝わってくるところ。ひと言でいえば運転の喜びが濃密に感じられるところですかね」

250219_AR_Hosokawasan_03_74-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

―これまで乗り継いでこられたモデルを教えてください。

「最初にアルフェッタGTを2台乗り継ぎ、次に1600ジュニア、その後SZ、アルファ164を3台。そして75、ジュリア ヴェローチェQ4と乗り継いできました」

―アルファ ロメオ愛は薄れるどころか深まっているようですね。

「そうですね。最初の刷り込みが強すぎて、アルファ ロメオ以外に乗りたくないという思いは変わっていません。がんばって仕事してお金がある程度貯まると、その金額でどのアルファ ロメオが買えるかと換算する癖がついてしまいました(笑)」

250219_AR_Hosokawasan_04_03-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

―ジュリア クアドリフォリオの前はジュリア ヴェローチェQ4に乗ってらしたとのことですが、いかがでしたか。

「それ以前からSZを長年所有していて、NAエンジンとマニュアルの感触を楽しめるSZはそのままそばに置いておきつつ、日常的に使えるクルマとして購入したのがジュリア ヴェローチェQ4でした。そのヴェローチェがとにかくデキが良かったんです。特に感心したのは8速オートマチックのシームレスな変速です」

「それまではオートマチックよりもマニュアルトランスミッションを自分で操った方が上手に走れると思っていたのですが、いざジュリア ヴェローチェQ4でワインディングに行きATをマニュアルモードで走らせたら、自分の想像を超えたレスポンスの良さでエンジンが反応しシフトアップが追いつかなかったんです。クルマ任せで走らせた方がスムーズで、それを感じた瞬間、自分の負けだなと(笑)。もはやオートマチックの方が優秀だと感じたんです。そうしてオートマチックに対するネガティブな印象を払拭させてくれたのがジュリア ヴェローチェQ4でした」

250219_AR_Hosokawasan_05_73-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

「そうなると、もはやマニュアルにこだわる必要はないなと思ったんです。当然最近のクルマの方が全体的に品質も上がっていますし、だったら2台持つ必要はなく、1台でコンフォートな走りからスポーツ走行まで楽しめるクルマとして、ジュリア クアドリフォリオの1台に集約したんです」

新たに見えたもうひとつの発見

―ジュリア クアドリフォリオとの出会いについて教えてください。

「あるときディーラーさんでステルヴィオのクアドリフォリオを試乗させてもらい、あまりに速くて頭を撃ち抜かれたような思いでした。それでサーキット走行も視野に入れ、これだけの性能をFRで操ることができたらすごく楽しいんじゃないかなと思い、ジュリア クアドリフォリオに想いを馳せたんです。当時、F1ドライバーのキミ・ライコネンがジュリア クアドリフォリオを運転しているCMを見て、あれを地で行きたいなと(笑)。ジュリア クアドリフォリオを買った後は、プロドライバーの方が主宰するドライビングの練習会に月1ぐらいで参加して腕を磨きました」

250219_AR_Hosokawasan_06_64-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

運転スキルを磨いたことで何か変化はありましたか。

「そうですね、アルファ ロメオが好きで、以前はおもちゃを与えられた子どもみたいなテンションで乗ることが多かったんですけど、ジュリア クアドリフォリオに乗るようになってからは、スポーツ走行はサーキットで行い、公道では無駄に性能を発揮することなく、これまで以上におとなしく走るようになりました。そうすると、これまでとは違うものが見えてきたんです。ゆったり走ることで、クルマの滑らかな動きに目が行くようになりました」

250219_AR_Hosokawasan_07_80-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

―サーキットを走るのとは違った、普段使いでこそ見えてくるものがあったのですね。

「そうなんです。ジュリア ベローチェQ4に乗っていた時も上質さや洗練された感触を感じていましたが、クアドリフォリオではそれらをさらに高い次元で感じるようになりました。ダンパーの動きやタイヤ、もっと言えばハブベアリングが回転する様子とか、交差点を曲がるときにもハンドルを切った分だけ正確に曲がっていく感覚とか。オートマチックの繋がりやシフトアップの感覚もそうですね。全開で走ると気づかなかった、実はよくできた機械としての精緻な動きや滑らかさを感じながらドライビングを楽しむようになっていったのです」

250219_AR_Hosokawasan_08_85-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

―1台に絞り込んだにもかかわらず、その後、ステルヴィオを購入されました。それは何か理由があったのでしょうか。

「いくつかあるのですが、一番はジュリア クアドリフォリオをサーキット走行後のメンテナンスなどで乗れない間に、代わりのクルマがもう1台車欲しいと思ったんです。実は以前に乗っていたジュリア ベローチェがQ4システムの完成度が高く、AWDであることを感じさせないところが気に入ってたので、今度はSUVでその感覚を味わおうと思い、ステルヴィオ ラグジュアリーパッケージを選びました。操作系やハンドル周りがジュリアとほぼ同じなので、違和感なく乗れるところも個人的にはプラスに捉えました」

250219_AR_Hosokawasan_09_30-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

―ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオはどのように使い分けをしているのですか?

「サーキット走行のほか、自動車博物館のようなスポーツカーの変遷やレースの歴史を感じられる場所に行くときは、そのつながりを共感できるジュリア クアドリフォリオで行くことが多いです。一方で、冬場に雪が降る場所に行くときはスタッドレスを履いたステルヴィオで行きます。たとえば日本海側に蟹を食べに行くとか温泉に行くことがあります。意外と驚いたのは高速道路を80kmや90kmで走るとステルヴィオもジュリア クアドリフォリオも燃費が変わらないんですよ。クアドリフォリオ系のモデルには気筒休止システムが付いているので、3気筒モード状態では標準モデルと同等の低燃費走行ができるんです」

250219_AR_Hosokawasan_10_34-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

―最後に細川さんは愛車のアルファ ロメオをどのような存在に感じていますか。

「なくてはならないもの、ですね。アルファ ロメオのおかげでいろんな人に出会えましたし、働くモチベーションにもなっていますから。アルファ ロメオが与えてくれる最も大きなものは、やはり運転する喜びだと思います。そしてその喜びがさらに増えました。昔はワインディングに行ってヤンチャな走りをして操る喜びを感じていました。今もその根本の部分は変わっておらず、サーキットで昔ながらの楽しみを味わっていますが、近年のモデルは品質が上がったことで、普段の走りからも精緻な動きに触れながらゆったりとしたドライビングを楽しむようになりました。アルファ ロメオに感じる愛着はその時々で少しずつ変化していますけど、一貫した運転の楽しみを与えてくれながら、それぞれのモデルに個性があり、1粒で何度も美味しいということ。そのように感じています」

250219_AR_Hosokawasan_11_39-1200x800 連綿と続くスポーツ性のDNAと機械工学としての完成度。ジュリア クアドリフォリオとステルヴィオを所有する細川さんのアルファ ロメオ観。

70年代から2020年までの約50年に及ぶアルファ ロメオ各車を操ってこられてきた細川さん。その間、モデルや搭載する技術、時代背景は目まぐるしく変化してきたなかで、普遍的なドライビングの楽しみを感じつつ、今のモデルの精緻な完成度に触れることに喜びを見出しているという。アルファ ロメオ一筋で駆け抜けてきたエンスージアストの言葉は深く、熱さに溢れていた。

Text: 曽宮岳大
Photo: 望月勇輝(Weekend.)

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