2023.7.28
Share
Read More

アルファ ロメオの故郷、イタリアからお届けするトナーレ プラグインハイブリッド Q4オーナーのインタビュー。第1回は斜塔で知られるピサから東に約30キロメートル、サンタマリア・ア・モンテで動物病院の院長を務めるファブリツィオ・アンジョレッリ氏を訪ねた。自邸のゲートが開くと涼しげなプールが現れ、その脇にまばゆい水の反射光を浴びてトナーレ プラグインハイブリッド Q4 ヴェローチェがパークしていた。さらにもう1台、懐かしいデュエット スパイダーも佇んでいるではないか。これは只者ではない。さっそくプールサイドで話を聞くことにした。

0727-italia1_001 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲ファブリツィオ氏は1974年生まれ。獣医師としてピサ県で動物病院を経営している。

少年時代の夢、果たす

「イタリア人の心のなかで、アルファ ロメオは常にスポーティーな自動車の象徴でした」とファブリツィオ氏は語り始めた。「かのエンツォ・フェラーリも若き日、レーシングドライバーとしてアルファ ロメオを駆りました。第二次世界大戦前は超高級車としても名を馳せました。戦後のツインカム・エンジンも伝説です。私は子ども時代から、そうした物語に親しみながら育ちました」

「親戚にもアルフィスタがいましたね。たとえば叔父はアルファ75に乗っていました」。ベルリーナ(セダン)でありながら、インボード・ブレーキやトランスアクスルといったレーシングカー並みのスペックが搭載された、ファンの間では今も語り草のモデルである。

「実は少年時代、父親がアルファ 164を選びかけました」。しかし納期の関係で、販売店が扱っていた他のイタリア車が納車されてしまったという。かなり過酷なお預けであった。

当然、18歳で免許をとってファブリツィオ氏も最初のクルマはアルファ ロメオ? 彼はそれを聞かないでくださいといわんばかりに笑って、こう答えた。「最初に手に入れたのは、旧ソビエト製の超スパルタンな4WDでした」。当時、彼の心のなかにある究極のアルファ ロメオはスパイダー デュエット。それは若者にとってプライス的に、本人いわく「禁じられた夢」だったことがあった。また、今日でもサマースポーツ、ウィンタースポーツ万能のファブリツィオ氏が若き日の選択として、オフロードカーを選んだのにはおおいに納得できる。

しかしアルファ ロメオへの思い絶ち難く、37歳の歳に1973年スパイダー デュエット1300を手に入れる。「私は1974年生まれ。つまり、ほぼ同い歳です」

「後輪駆動ならではの挙動に魅了されましたね。以来ヒーターをはじめ、ほとんどの部分を自分で直しました。知り合いのメカニックや板金工場の仕事場に押しかけて邪魔をしながら、修理のテクニックを学んだのです。他の人がジムに行く代わりにね!」。近所の空き地で仲間と練習を重ねてはタイムトライアルにも挑戦してきた。

0727-italia1_002 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲ちょうど半世紀違いの2台だが、ファブリツィオ氏は、いくつもの共通点を見出して楽しんでいる。

0727-italia1_003 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲1973年式スパイダー デュエットの1.3リッター・ツインカムエンジン。

0727-italia1_004 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲ガレージにて。テールが切り落とされた“コーダ・トロンカ”といわれるモデルである。

0727-italia1_005 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲自動車書籍出版社ジョルジョ・ナーダがデュエット スパイダーの専門書を刊行する際は、車両協力をした。

いっぽうでファブリツィオ氏は、デイリーユースには例のオフロード4駆のあと、ドイツ系ブランドのプレミアムカーを乗り換えた。転機は、イタリアでは2017年に発売されたアルファ ロメオのSUV、ステルヴィオだった。「超軽量プラットフォーム、カーボンファイバー製プロペラシャフトをはじめ、イタリア車のテクノロジーとクオリティが長足の進歩を遂げていることに驚いたのです」。さっそく同年ステルヴィオを購入、以来6年間をともにした。

「クラシック」と「ハイテクノロジー」の融合

ファブリツィオ氏は続ける。「ですから、アルファ ロメオがトナーレでプラグインハイブリッドという新技術に挑戦したことに当然興味を抱いたのです」

彼にとって初めてのプラグインハイブリッド、かつ初めての電動車だったが、「ライフスタイルにぴったりだったので、迷いは皆無でした」と振り返る。

「月曜から土曜は動物医院まで通勤し、昼休みは毎日家でランチをとっています。1日の平均走行距離は50〜60キロメートル。したがって平日は、まったくガソリンエンジンを使わず、EVモードを満喫できますからね」

そのため、ファブリツィオ氏は「イタリア国内で予約がスタートして3日目には、試乗もせず、契約書にサインしていました!」と笑う。もちろん車体色は「イタリアのナショナルカラーであるレッド一択でした」

実はもうひとつ、彼にトナーレ プラグインハイブリッド Q4を即決させた動機があった。ファブリツィオ氏は、デュエット スパイダーを自分で修復したことでもわかるように、かなりのDIY派である。邸宅も古い農家を手に入れ、長い間かけて自身で改装したものだ。

「太陽光パネルを設置したとき、将来クルマの電動化時代を見越して、ついでに3kWの家庭用ウォール式充電器を設置していたのです」。このトナーレは7.4kWまで対応しているが、自分の使い方としては十分と話す。実際、平日はほぼすべてを太陽光パネルからの電力で補っている。遠出がない週末が続くと「いつガソリンスタンドで給油したか、忘れてしまいます!」

0727-italia1_006 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲自ら経営する動物病院への通勤および往診に毎日活用している。

0727-italia1_007 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲自宅のウォール型充電器を使って、夜間と昼休みにチャージする。

トナーレのエクステリアで気に入っているのは、クラシカルなデザインという。「昨今SUVの造形には、キャラクターラインが整理できていない、または奇をてらったものがたびたび見られます。いっぽうでトナーレは、SZ、GT、ブレラといったかつてのモデルにも通じる、まごうことなきアルファ ロメオらしいシンプルなフォルムを維持しています」

インテリアに関しても、同様の意匠的共通性を感じるという。「トナーレのメータークラスターはデジタル化されています。しかし、ちょうど車齢が半世紀違いである私のデュエット スパイダーのアナログメーターのムードを確実に引き継いでいるのがわかります」

0727-italia1_008 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲1973年式デュエット スパイダーのダッシュボード。

0727-italia1_009 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲トナーレ プラグインハイブリッド Q4のデジタルクラスターメーター。

周囲のアルフィスタたちの評価も上々だ。「親戚には、1980年代のアルフェッタ2000やジュリエッタに乗っている従兄弟がいます。また916型のスパイダーを愛車にしている友人がいます。初めのうち彼らは『電池で走るアルファ ロメオだって?』と懐疑的でしたが、運転させてみた途端、皆即座に「いいじゃないか!」と声を上げました」。参考までにファブリツィオ氏は、イタリアのアルフィスタたちで作るインターネットの交流サイトに、納車直後からほぼ毎日トナーレ プラグインハイブリッドQ4との生活を綴っている。内容は、電費・燃費から、他ブランドとの比較、購入を検討している人へのアドバイスにまで及ぶ。

往診にもトナーレ プラグインハイブリッドQ4は役立っている。

「行き先は舗装路とは限りません。砂利道や泥濘地であることもたびたびです。また、どんな悪天候の日も確実に向かう必要があります。そのためガソリンエンジンによる前輪駆動+モーターによる後輪駆動、そしてSUVならではの高い走破性は、安全性という観点できわめて心強いのです」

0727-italia1_010 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲悪天候でも、また悪路でも往診に駆けつけられるのは、4輪駆動のSUVならではの強みだ。

ロングドライブもすでに経験した。「直近では、いとこが住むスイスまでロングドライブをしました」。次の遠出は、ベルギーとオランダを計画している。「そうした国では無料のチャージングポイントが充実していると聞いています。美術館で鑑賞しているうちに充電できたらいいな、と想像しています」。次の冬は北部でスキーを楽しむ予定だ。「AWDモードでどのようなパフォーマンスを見せるか、今から楽しみです」

いつもの道が劇的に変わる

ところでアルファ ロメオの日本におけるコニュニケーションのスローガンは「Unforgettable Experience」である。トナーレ プラグインハイブリッド Q4は、ファブリツィオ氏にとってどのような忘れられないドライブ体験をもたらしてくれているのだろうか?

「もちろん、デュエット スパイダーのようなツインカム・サウンドも、ガソリンの匂いもしません(笑)。

しかし、EVモードの静寂に包まれたクルージングは、異次元の体験です。さらにDNAドライブモードで「D」をセレクトして4輪駆動に切り替わった途端、SUVであることを忘れさせるほどスポーティーな走りを見せます。コーナリングではカートのように地面を掴んで離しません。トナーレ プラグインハイブリッド Q4は街でも、ワインディングでも、そしてアウトストラーダ(高速道路)でも、いつもの道が劇的に喜びへと変わるのです」

アルファ ロメオ・ブランドは電動化に向けて着々と走り始めている。それに関してファブリツィオ氏は、ステランティス・グループの1ブランドとしてシナジー効果を最大限に活用しつつも「常に他とは違うアルファ ロメオらしさを継承してほしいですね」と語る。

0727-italia1_012 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲「いつもの道が喜びに変わるブランドです」とアルファ ロメオを定義する。

0727-italia1_013 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲SUVでありながら、一旦走り出せば「カートのごとく痛快」と言う。

0727-italia1_014 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲プラグインハイブリッド Q4専用であるデュアルエキゾーストのデザインもお気に入りだ。

そのファブリツィオ氏、実はもうひとつトナーレの楽しみがあるという。ブランド伝統のロゴが散りばめられていることだ。「ヘッドライトのレンズの中に、小さなクアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)を発見したときは、身震いさえしました」。さらに、プラグインハイブリッドQ4ならではの、後ドアのガラスにプリントされたビショーネ(大蛇)のロゴも指摘する。「オリジナルが人を飲み込んでいるのに対し、電源プラグをくわえているんです。見るたび笑顔を浮かべてしまいます!」。アルファ ロメオ流・最新電動車は、生粋のアルフィスタであるファブリィオ氏の心のボルテージも上げるようだ。

0727-italia1_015 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲ファブリツィオ氏の密かな喜び その1。ヘッドライト・ユニットの中のクアドリフォリオ。

0727-italia1_016 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲その2。電源プラグに変身したビショーネ。トナーレ プラグインハイブリッド Q4で初めて採用された、お洒落なロゴだ。

0727-italia1_017 イタリアのオーナーインタビュー Vol.1 トナーレ プラグインハイブリッド Q4|熱愛ブランドがもたらした「大きな喜び」と「密かな楽しみ」

▲アルプスを越えたロングツーリングを今から楽しみにしている。

トナーレ プラグインハイブリッド Q4特設サイトはこちら


report & photo 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
coordinate 大矢麻里 Mari OYA

PICK UP

注目記事