ALFA ROMEO & 前田陽一郎

2023.7.24
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元LEON編集長にして、現在はクリエイティブディレクターとして多方面で活躍されている前田陽一郎氏。人生を明るくスタイリッシュに楽しみ尽くすライフスタイルを牽引してきた前田氏が、アルファ ロメオの最新鋭であるトナーレを駆って向かったのは、高速道路、湖、高原の気持ちいい道、ワインディングロード、そしてラグジュアリーホテルというフルコースのようなルート。遊びを知り尽くした達人はなぜこのルートを選んだのか、ファッショニスタでもある人物はトナーレと過ごすひとときをどんなふうにコーディネートしたのか、お話を伺った。

0724-maeda_001 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

▲『ALFA ROMEO TONALE(アルファ ロメオ トナーレ:マイルドハイブリッド)』

僕にとってのアルファ ロメオは、ずっとしなやかでスタイリッシュなイメージ

20代前半の頃に親しかった人たちに数人、アルフィスタがいたんです。ひとりはジュリアの1600に乗っていた、ひとつ上の先輩でした。20代前半で会社にジュリアを乗りつけるぐらいだから生意気だったのかもしれないけど、でも自分というものを持っている感じで、先輩としてかっこいいなっていう印象がありました。そしてスパイダーのヴェローチェに乗っていた友人。彼は最初に就職した先のいちばん仲がよかった同僚で、すごくお洒落で、まさに僕たちの世代には懐かしいハートカクテルな感じだったんですよ。もうひとりは僕の地元、三重県の伊勢で、SZに乗っていた人がいて。当時の伊勢ってパワースポットでもなんでもなくて、ただ社会の教科書に出てくるような寂れた場所。そんなところで古着屋さんをやったりしていた、ちょっと尖った人でした。店の前に停まっているSZがすごくかっこよくて。そんな記憶があります。

彼らは皆、しなやかな男だったんですよ。だから僕にとってのアルファ ロメオっていうのは、ずっとしなやかでスタイリッシュなイメージなんです。洒落た生き方をする人が乗るクルマ。アルファ ロメオ、アルフィスタっていう言葉にも、特別な響きを感じます。アルファ ロメオっていうのは、ほかのクルマたちとは違う、別のひとつのカテゴリーであるような印象ですね。

0724-maeda_002 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

▲前田陽一郎氏

トナーレのことは、コンセプトカーとして発表された2019年から存在は知っていました。実際に触れたのは今日が初めてですけど、デザイン、実はすごく好きです。SUVのスタイリングにまだかっこよくする余地があったのか、って思いましたね。SZを思わせる顔やジュリア クーペを連想させるショルダーラインや、そうした歴史的なディテールをたくさん散りばめながら1台に無理なくまとめている感じで、簡単ではなかっただろうけどこの手があったのね、って思わされました。デザインに関してはさすがだな、って感じます。

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走りはじめてみたら、100mもしないうちに、敏感なハンドリングに驚かされました。ほんの1〜2cmステアリングを切っただけでクルマがはっきりと反応する感じがして、SUVなのにここまでクイックな性格にするのか、ってちょっと唖然とさせられましたね。高速道路に入ってからはACC(アダプティブクルーズコントロール)機能を積極的に使いながら走っていたんですけど、途中で、いや、これは自分で操作して走る方が楽しいクルマなのかも、と思ってACCをオフにしたら、やっぱりそのとおりでしたね。高速コーナーの切り返しが気持ちよかった。西湖あたりの周遊道路に差しかかった頃には走りはじめたときに感じた敏感なフィーリングに慣れたのか、クイックでレスポンスのいいハンドリングがすごく楽しくて、ググッと曲がってくときの気持ちよさが何だかとてもアルファ ロメオらしいな、なんて感じましたね。素直に楽しかったです。

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市街地を走っていたときのマイルドハイブリッドのモーターからエンジンに切り替わるときの自然でスムーズな感じも印象的だったけど、トナーレはクルマ全体がしなやかな感じがするんですよね。それは足周りがしなやかだとか、そういうことじゃなくて、20代前半の頃にアルファ ロメオに乗っていた先輩や友人のような存在そのもののしなやかさ、という感じ。走りに軽やかなフィーリングがあるから、しなやかな存在感とか軽やかな感覚とか、そういうものが上手に噛み合っているように思えましたね。好印象ですよ。

目的地は富士スピードウェイホテル

今回のドライブルートは、実は自分でもよく走る、定番コースみたいなものなんです。富士五湖周辺っていろいろな美術館があったりカフェやレストランがあったりでよく知られてはいましたけど、もうちょっと自分が自由でいられる場所ってないものかな、ってずっと思っていたんですね。それが『富士スピードウェイホテル』ができたことで、叶えられました。

0724-maeda_005 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

▲『富士スピードウェイホテル』のエントランス

こちらはハイアットのアンバウンドコレクションに数えられるホテルですが、僕にとってはサーキットに隣接し、レーシングカーの博物館を併設しているホテルであること以上に、このクラスのクオリティをこの場所で味わえるっていうことが大切なんです。充分に目的地になるというか、すごく嬉しいんですよね。このあたりって富士山の見えるホテルっていうのはいっぱいあるんですけど、富士山を間近に見ながら、しかもサーキットという抜けの素晴らしくいい場所を眼下にしながらコーヒーが飲めるホテルって、ほかにないですから。クルマ好きだけじゃなくて、ホテル好きにももっと支持されていいホテルだと思いますよ。

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▲『富士スピードウェイホテル』の1,2階に設けられた『富士モータースポーツミュージアム』。この車両はアルファ ロメオ歴史博物館所蔵の1930年式『6C1750 グランスポルト』。

0724-maeda_007 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

▲『富士モータースポーツミュージアム』内にある『Fan Terrace(ファンテラス)』

しかも八王子が自宅ということもあって、僕にとっては道筋もいいんです。中央道の八王子から相模湖にかけてのハイスピードなコーナー、富士五湖周辺のワインディングロードや緑の綺麗な道と走った先に、コーヒーを飲むだけでも心地好いし、何だったらディナーを食べて帰ってくることもできるアンバウンドコレクションのホテルがある。帰路は、御殿場から東名や圏央道を使って帰る選択肢もあるし、ちょっと走りたりないから道志みちでずっとくねくね道を楽しみながら帰ることもできる。ほかにも寄り道含めていろいろなルートを考えられるんです。お昼ぐらいから出掛けてディナーを食べて帰ってきても夜9時を回らないようなコースだし、距離的にも200km前後で、ちょうどいいんですよ。

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▲西湖周辺のワインディングロード

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▲西湖

トナーレをイタリア式に乗って郊外へ

イタリア人って本当にクルマとともに生活しているんだな、っていう印象を持っています。1,000kmぐらいまでだったら、彼ら、平気で走っちゃうじゃないですか。僕が履いている白いスニーカーはサントーニっていうメーカーのものなんですけど、工場が創業の地であるマルケのアンコーナという街にあって、ヘッドオフィスはミラノなんです。そこの当主は金曜日の夕方ぐらいにクルマでミラノを出て、アンコーナまで帰るんですよ。それで土曜日と日曜日をマルケで過ごして、月曜日の朝にまたクルマでミラノに向かう。片道400kmぐらいあるんじゃなかったかな。それが当たり前という生活をしている人なんですね。

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あるとき、彼にアンコーナの工場を取材させてもらうことになったんです。その際に「夜になったら素晴らしいディナーを用意してあるからぜひつきあってくれ」って言われて、もちろんご一緒させていただいたんですけど、連れていかれたのはアンコーナから1時間ほどクルマで走った海辺のビーチハウスみたいなところで、本当に素晴らしいディナーだったんです。近場でサッとすませたりしないで、郊外に本当においしい料理と素晴らしい景色があるから、そこまでわざわざクルマに乗せて人を連れていく。そのホスピタリティみたいなものが、僕はとっても好きなんですよ。そのときだけじゃなくて、ほかの方にも郊外に連れていかれてお城みたいなところでディナーをいただいたりとか、何度となくそういう経験をさせていただいたんですけど、それらのひとつひとつが忘れられない想い出になっているんです。郊外にいいレストランをひとつ知っていると、クルマとのつきあい方、それに夜なら夜の、週末なら週末の時間の過ごし方が、ちょっと変わってくるんじゃないかな。

0724-maeda_011 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

僕は、だから富士スピードウェイホテルを目的地にするコースをお勧めしたいと思ったんです。イタリアのライフスタイルの一片を体験できるようなものなので。日本では美味しいものを食べるためにわざわざ郊外へクルマを走らせるようなことをしている人にあまり出会ったことがないんですけど、こういうイタリア式の使い方にも、トナーレはふさわしいって思います。例えば、スポーティなクルマではあるけど、サイドがギュッとつまった緊張感のあるシートではないんですよね。そういう意味ではツーリングマシンなんだなっていう印象を受けたし、誰かを乗せて50kmとか70kmとか先の気持ちのいいレストランまで食事に行くためのマシンとしても最適なんじゃないかな、と感じます。

0724-maeda_012 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

華やかさや美しさはトナーレにすべて委ねて

トナーレって、華やかですよね。その華やかなクルマに自分が華やかさで対抗するようなことは、僕はしたくありません。イタリアの人たちといろいろな雑談をしたり、インタビューもしてきましたけど、ずっと心に残っていることは、彼らは常に、一緒にいる女性がいかに美しく見えるように演出するかが大切で、お洒落はそのためにあるものだと言うんですね。女性という存在に対する敬意の持ち方が違うんです。僕たちは美しいものに対する敬意をちゃんと払わないとダメだと思っているんだ、みたいなことをイタリア人が話しているのを聞いて、この人たちの考え方の源泉はそこなんだな、と強烈に感じたこともあります。

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だから今回の服装も、そうしたところを踏まえたつもりです。休日にスラックスを履いて湖畔に立つのはTPOが違うから、デニムにしよう。完全な自己満足だけど、イタリアのクルマに乗る以上はTシャツではなく襟のついたものにしたいから、タオル地のスキッパーを。色合いはブルー系統と白で統一して、時計もアクセサリーもギラギラしたものにはしない。華やかさや美しさみたいなものはトナーレにすべて委ねて、僕はただドライバーズシートに座っている人でいよう、というのがコンセプトでした。

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0724-maeda_015 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

クルマなんだからジャケットを放り込んでおけば、そのままホテルでディナーとなっても恥ずかしくないですし、それにイタリアンクラシック由来のサントーニが作る綺麗な白いスニーカーであれば失礼に当たらないだろう、と。イタリアの人たちってそのあたりのTPOはしっかりしていて、ディナーとなると必ずジャケットを身につけるじゃないですか。僕もホテルではジャケットを羽織りました。芯地の入ってないナポリ仕立てを選んだのは、会合に来たわけじゃなくてリラックスしに来たんだっていう表明でもあります。僕が知っているイタリアの人たちって、夜になるとかっちりしたジャケットから柔らかなジャケットに着替えたりするんです。僕のことを受け入れてビジネスではないディナーをしようとしてくれているんだ、と思えて嬉しい気持ちになれるんですよ。そういうことも含めての、今日の選択でした。

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0724-maeda_017 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

僕は訪ねる料理屋さんもそうなんですけど、ちょっとずつ増えていくっていうのが好きなんですね。ドライブの行き先も、いろいろと走ってきた中で気に入って、ちょっとずつ増えていく。結果的にまた行きたい場所が増えていく。次は誰を連れてこようとか、そういう場所が増えていくのが嬉しい。それって結局、さっきお話したイタリア人たちにいろいろ素晴らしいところに連れていってもらった想い出深い体験を、日本で再現しようとするのに近いのかもしれません。イタリアやイタリアの粋な人たちが教えてくれたあの時間の歓び。それが僕にとって、ドライブのちょっとしたテーマになっているんでしょうね。それをアルファ ロメオが叶えてくれるのであれば、そんな素敵なことはないな、と思います。

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0724-maeda_019 元LEON編集長・前田陽一郎氏 『イタリア式でトナーレを走らせる。前田流アルファ ロメオ ライフのすすめ』

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Text: 嶋田智之
Photo: 神村聖

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