2025.2.20
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イタリアや現地の食への憧れからイタリアへ渡り、本物の食文化を学んだ国際的バリスタの中川直也氏。イタリアへの想いは何よりも強い。そんな中川氏がエスプレッソやカフェ文化を通じて、肌で感じたイタリア像とはどのようなものなのか。イタリアに精通するその視点から、愛車に迎えたアルファ ロメオへの想いを聞く。ジュリア クアドリフォリオを経て、現在の愛車はステルヴィオ クアドリフォリオだ。

作って終わりではなく、お客さんの喜ぶ姿に思いを馳せる

中川さんがイタリアに惹かれるようになった経緯を教えていただけますか。

「中学生の頃からイタリアに漠然とした興味を抱いていたんですよ。どんな国なのか深くは知らないけどテレビや雑誌を見てなんとなく惹かれる。最初はかっこいいな、というそんな漠然としたイメージでした。その後、バーテンダーを経て、お酒よりもカフェが自分に合うと思って20代になった頃、イタリアに旅行で行ったんです。なにもわからず現地でエスプレッソを飲んで回り、イタリアへの憧れを実体験として味わう。そんな旅を楽しんだ記憶があります」

250204_AR_Nakagawasan_02-1200x800 エレガンツァとアモーレ。それを感じられればイタリアは面白い。イタリアに精通する国際的バリスタ中川直也氏から見たアルファ ロメオの“らしさ”

「最初に就職した会社は、海外で工場とかを建設する日本のエンジニアリングの会社で、海外の人ともたくさん出会いました。イタリア人もいましたし、彼らとの交流は楽したかったんですけど、仕事はどうも面白くない。それでイタリア系のエスプレッソマシンの日本代理店をしていた会社に転職したんです。そこからは一日中イタリア漬けの世界となり、それが好きでない人には辛く感じたかもしれないけど、僕にはその生活がしっくりきたんです。それでイタリアに対する自分の想いを再確認しましたね」

20代で最初にイタリアに行った時に、何を持ち帰ってきたと思いますか?

「その時はかっこいいなという気持ちしかなかったですけどね(笑)。コーヒーが好きだったのでバールやカフェを何軒か回りましたけど、当時はどの店に行けばいいのかわからなかったので『地球の歩き方』を見て観光客が行くような店に行きました。それでもカメリエーレ(ウェイター)の所作や立ち振る舞いに魅了され、憧れを抱きましたね」

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イタリアの“人”に惹かれたのですね。

「そうですね。人と人の作り出す空気感ですね。それをカフェで感じたんです。例えばイタリアの人の仕事って日本人の目から見ると、自由奔放に映ると思うんです。でも自由なだけでなく最後にはきっちり仕上げるんですよね。やることをしっかり押さえつつ、集中する必要がないところは楽にやる感覚を身につけている気がします。あと、何よりも楽しんでますよね。同じイタリアでも寒い北部の人と温暖な南部の人では気質の違いはありますけど、それでも全般的に日々を楽しんだり、仕事が終わっても楽しもうとする心意気を感じます。僕らからしたらうらやましいなって思いますよね。でも仕事にはこだわりやプライドを持ってる人が多いと感じます」

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▲中川直也氏
国際カフェテイスティング協会公認講師。日本バリスタ協会インストラクター。株式会社AUTENTICO代表。
イタリアのカフェを軸に本物の食文化を広める活動をライフワークとし、イタリアの厳選した食品を日本に紹介する事業も展開。

彼らのそのプライドはどこに向けられていると感じますか。

「自分のやる作業へのプライドとか、アウトプットするもの。例えば僕だったらエスプレッソ作りであったり、カフェを提供することへのプライドです。日本と違うのは“作ったら終わり”ではないんですよ。イタリアではコーヒーを作り、お客さんが楽しく過ごしているということがゴールと考えているんですよね。この違いはクルマ作りにも現れているような気がします」

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「イタリア車はかっこいいクルマを作るだけでなく、その先のお客さんが楽しんでいる姿にまで想像力を働かせてクルマを作っているのではないかと感じますね。僕がいま乗っているステルヴィオ クアドリフォリオには、乗り込んでエンジンをかけると液晶パネルにロゴがくるんと回って現れたり、色々なところに気持ちをわくわくさせる演出があるんです。エンジン音もドライバーを昂らせるし、走れば楽しさが感じられる。お客さんに楽しんでもらえるクルマを作ろういう、そこにゴールを設定している気がします」

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振り幅が大きいのもイタリアの魅力

届けるまでじゃなくて、届けたその先の楽しみを作り出すのがイタリア流だと?

「そうですね。カフェもそうで、このお店でこういう過ごし方をしたら心地よいよね、という感覚が共有されている気がしますね。その感覚がサービスを提供する側とお客さんの間で共有され、一体感を生み出している気がします。それは“エレガンツァ”と“アモーレ”という言葉に集約されると思います。向こうの方は指先ひとつの動きを取ってもエレガントなんだけど、それが押し付けがましい感じがしないんですよ。半歩離れて見た時に漂うその空気感がエレガントに見え、そこに相手を思う気持ち(アモーレ)が漂っているという……」

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「こういう雰囲気がいいよね」という感覚が言葉にしなくても共有されているのですね?

「そうだと思います。だからイタリアのカフェって、皆でいい雰囲気を作り出しているんです。ミラノにはコヴァやサンタンブロース、マルケージなど、100年近くあるいはそれ以上続く素敵なカフェがあるんですけど、そこに足を運ぶとお客さんがいっぱいいて、いつもと同じ雰囲気を醸し出しているんです。BGMも流れてなくスプーンと陶器のカップが当たるカシャンという音が心地よいリズムを奏でて鳴り響く。そこでお客さんは皆それぞれが自分の時間を過ごしているんですけど、その個々の日常の集まりが全体の素敵な空気感を作り出しているんです。その不思議な感覚にイタリアの心地よさの秘訣が隠されていると思いますね」

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心地よい空間を作るということが、普遍的な価値として根付いている?

「自然体でその場の空気感に飲まれていくというか、溶け込んでいくみたいな感じがありますよね。そして同じカフェでも昼と夜で表情を変えるのも面白いところだと感じます。例えばカフェで夕方にお酒を飲んでもいいですし、昼間にちょこっとお酒を一杯、アペリティーボ(食前酒)を楽しむという文化があるんですけど、そういうのもイタリアらしさを感じますね。日本だとコーヒーショップはコーヒーを、お酒を飲みたければそういうお店に行くという風に分かれている感じがありますよね。“いや、その中間が欲しいんだけど”というニーズにも応えてくれる。その振り幅の大きさがあるのがイタリアなんですよ」

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そこはアルファ ロメオにも感じるものがありそうですね。

「そうなんです。前に乗っていたジュリア クアドリフォリオも、今のステルヴィオ クアドリフォリオもそうなんですけど、さまざまな場面で使える幅の広さがありますよね。デニムを履いてカジュアルな場所に乗っていくときも、スーツを着てちょっといいホテルで食事をするというときも、まったく違和感なく溶け込むんですよね。それはアルファ ロメオの良さかなと思います」

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その場の雰囲気に溶け込むし、スポーツカーかSUVかというのではなく、1台でその両方を楽しむこともできますね。

「まったくその通りだと思いますね。ステルヴィオ クアドリフォリオって見方によっては用途がよくわからないクルマに見えると思うんですよ(笑)。SUVなのに500ps以上あるって、普通の感覚からしたら、どこに向かっているクルマなんですかって気がするじゃないですか(笑)。でも僕にとってはすごくいい感じなんです」

「例えばイベントでエスプレッソを提供してほしいと頼まれた時に、夜のうちに設営しないと間に合わないというようなこともよくあります。でも夜中1時ぐらいにようやく設営が終わり、荷物を下ろして軽くなった状態のクルマで都内の空いた道を走ると、なんだかすごい気持ち良く感じることがあるんです。疲れを忘れさせるというか、ドライビングそのものを楽しませてくれる。どんな時でもテンションを高めてくれるのは、他では味わえないアルファ ロメオの魅力だと思います」

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どんな時でも楽しむ気持ちを忘れない

中川さんがステルヴィオ クアドリフォリオを選んだ理由は何だったんでしょう。

「大きな理由は荷物が載せられることです。僕のライフスタイルは、美味しいイタリアンカフェを、どこでも楽しんでいただける環境を作る。それをできるのが自分の強みでもあると思うんです。それにはエスプレッソ作りのノウハウとマシンが不可欠ですので、エスプレッソマシンを運べることが僕の中では大事なポイントなんです。エスプレッソマシンって大きいものだと40kg位あるんです。以前はジュリア クアドリフォリオに無理やり載せていたんですけど(笑)、もう少し楽に積むことができ、なおかつ自分で操る楽しさを味わえるというところで、ステルヴィオ クアドリフォリオが最適だと思って選びました」

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イタリアの本物の文化を伝えたいということで現在活動されていますね。

「本当のイタリアを伝えたいという気持ちは常に持っています。以前に代表を務めていたイータリーもイタリアの食文化を正しく伝えることを掲げる会社でしたし、その後独立してエスプレッソを軸に、カフェやバールのブランディングなどを手掛ける会社を設立したのですが、英語で本物を意味するAUTHENTIC(オーセンティック)をイタリア語で表現したAUTENTICO(アウテンティコ)という言葉を会社名に選びました。イタリアにはハムひとつとってもチーズひとつをとっても、それぞれに奥深い歴史があり、その歴史と食文化、地域性が密接に絡み合っているんです。そうした食文化の広がりや奥深さを日本や海外の国に伝えたいという思いがアウテンティコという社名には込められています」

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日本のみならず、アジア諸国でもイタリアの文化啓蒙をされていますね。

「ミラノやナポリなどイタリアの都市でバリスタとして活動した経験を活かし、本物のイタリアンエスプレッソを広めたいと思っているんです。味だけではなく、イタリア流の振る舞いを含めて。現地ではバリスタ4人ぐらいとカメリエーレ何人かで1日に2,000-3,000杯作るという経験もしました。彼らはしっかり仕事はするんですけど、ランチに出るとなかなか帰ってこない。こっちはひとりでてんてこ舞いに働いているのに、気づいたらカウンターの向こう側で呑気にコーヒーを飲んでいるなんてことも(笑)。おいおい、と思うんですけど怒っても仕方がない。イタリアでは半分遊び感覚なんですよね。それを楽しめるところがイタリアの懐深さだと思うんです。最近では韓国や中国、タイなどアジアからも技術を持ったバリスタが出てきています。でも美味しいコーヒーを提供するだけでなく、楽しんで仕事できるか。そういう感覚まで含めて、イタリアの良さを広められたら、と思っているんです」

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常に前向きで、苦しい時もニコリと微笑む芯の強さ。国際的なバリスタが語るイタリア像に、中川さん自身の姿が重なって見えた気がした。また、仕事をきっちりこなすだけでなく優美に、そして楽しく。そんな中川さんが話してくれたイタリアの真髄に、アルファ ロメオの魅力が潜んでいるように思えた。

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Text: 曽宮岳大
Photo: 望月勇輝(Weekend.)

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