無理のない自然体であることを好みながら、ここは譲れないという“こだわり”を貫く。これがアルファ ロメオのオーナーに共通するスタイルのようです。普段はカーデザインの仕事に就く亀澤浩史さんは、オフの時間にはトナーレを駆ってドライブに出かけます。ドライビングシートには小さな相棒。充実したカーライフを送る亀澤さんに、これまでのクルマとともにある生活、アルファ ロメオ遍歴と愛車の魅力を聞きました。
豊かな自然も享受できる、落ち着いた東京の西部・多摩エリア。カーメーカーのデジタルモデラーとして多忙な日々を送る亀澤浩史さんは、この環境をとても気に入っている。
「デジタルモデラーという仕事は、以前のクルマづくりで言えばクレイモデラーです。CADソフトのエイリアスを使って、3Dのデジタルデータとしてクルマの造形をデジタルで行う職業です」
それならば、カーデザインに対する「審美眼」もきっと人一倍のはず。そんな亀澤さんがトナーレを選んだ理由を知りたいと考え、普段のクルマとの暮らしのひとコマに密着させてもらった。
愛犬と、ドライブも、サイクリングも。
デジタルな環境から離れて過ごすオフの日、亀澤さんは愛犬のファム(3歳・♀)を連れ立って愛車に乗り込む。「ここにはよく行くんですよ」と向かった先は、都立の大型公園だ。慣れた様子でスノーピークのキャンプギア、ヘリックスの折り畳みチェアなどをラゲージスペースに積み込んでいく。
助手席のドライブボックスに収まった愛犬の姿は、まさに自然体。亀澤さんは先代の愛犬をうしなってから数年、ようやく悲しみも癒えて新たに迎えようと思ったのが、牧畜犬のルーツを持つ元気なウェルシュ・コーギー・ペンブロークだった。
パーキングのゲートをくぐると、PHEVのトナーレQ4の低速走行はバッテリーモードに切り替わり、静かに駐車スペースに滑り込んでいく。
停車後にバックドアを開けて取り出したのは、英国ブロンプトン製の折り畳み自転車。「サーキット観戦などでは移動距離も多いから重宝します」とのこと。車載バッテリーを搭載しながらも、ラゲッジスペースを十分に確保したトナーレが頼もしい。
助手席を出たファムが移動した先は、自転車のハンドルを握る亀澤さんの胸もと。カンガルーの親子よろしくヒョコッと顔を出し、頬に風を感じながらのサイクリングが大のお気に入りだ。
「キャンプには一緒によく行きます。メインのシーズンは冬です。山梨の『ほったらかしキャンプ場』が気に入っているんです。併設の露天温泉が夜10時までやっているのと、洗い場にもお湯が出るので大変ありがたいです。クワガタが取れるような山のキャンプ場も好きですが犬にとってはマダニがつく心配もあるため、整備された施設に落ち着いた感じです」
眩しい緑のなか、ふたり(1人と1匹)の落ち着いた雰囲気に、トナーレの特別色「モントリオールグリーン」がとてもマッチしていると感じる。
味のあるクルマを乗り継いだアルファ遍歴
しかし、これまで亀澤さんが3台乗り継いできたアルファ ロメオのボディカラーは、すべて赤だったという。最初に選んだのは「916スパイダー」だ。
「自分でクルマを購入しようと決意したのが、25歳です。代官山の路上で信号待ちをしているスパイダーの男性が、助手席にレトリバーを乗せていました。その姿が本当に格好良くて。それまでは日常的にバイクに乗っていましたが、幌を開けて、ヘルメットなしで風に吹かれるのは気持ち良さそうだなと思ったんです。当時の愛犬は喜びましたが、同乗した女性は髪がはためきすぎて大変そうでしたね(笑)」
2台目は「お尻に一目惚れしました」というGT。「2リッターのセレスピードは、乗っていてとても楽しいクルマでした」。7年所有したが、当初はそれほど長く乗り続ける予定ではなかった。
「次に購入の候補にしていたのが、新しくデビューしたジュリエッタです。でも、欲しい色が国内市場に入って来なかったんですね。それは東京モーターショーで見た8Cのメタリックな赤でした。『日本に入ってきたら買います』とディーラーに言っていたら、2年後に『ようやく入りました!』と連絡が来たんですよ。」
自分がこれだと直感したチョイスには妥協しない。そんな亀澤さんのポリシーが垣間見られるエピソードだろう。愛車遍歴を振り返る途中、亀澤さんが発した「好きなのは、味があるクルマ」というフレーズが印象的だった。
今回、トナーレを選ぶ最終的な決め手となったのは、かつて学生時代に憧れた「SZ」の3つ目のヘッドライトをモチーフにした新デザインのヘッドライトだった。
しかし、Q4ヴェローチェPHEVモデルのボディカラーはグリーン。戸惑いはなかっただろうか?
「正直、戸惑いはありました。今まで赤いアルファ ロメオしか乗ったことがないし、所有するバイクも赤が多かったですから、緑色のクルマに乗る自分の姿がイメージできませんでした。でも、太陽光の下で見たこのグリーンがとても美しかったので『あ、これだ!』と思い、挑戦してみました」
3代目の愛犬と、ゆっくり過ごす日々のために。大人の余裕、そこに少しの色気。トナーレのチョイスは、はた目からもピッタリだと感心してしまう。
トナーレと、毎日を機嫌よく暮らす
元気に走り回ったファムは涼しい車内に戻ると、すぐに静かな寝息を立て始めた。「クルマが走り出すと気持ち良くなるのか、いつもすぐ眠ってしまうんです」。そんなこともあって、あまり亀澤さんは車内で音楽は聴かない。この日もカーラジオが静かに流れていた。
亀澤さんはドライビングに神経を集中させ、ステアリングを握る時間に満足している。「トナーレの足もとはしっかりしています。PHEVのバッテリーもパワーがあり、問題はないです。でも、うっかりバッテリー残量が切れてしまったときは途端に重くなってしまうので、容量に注意して走るようにしています」
ハンドルの取り回しがいいので「もう少し大きなステルヴィオでも良かったかもしれないな」と亀澤さん。近距離でも遠方でも、自由自在に愛車との生活を楽しむ様子が伝わってくる。愛犬家へのオススメスポットとお気に入りのドライビングコースを聞いた。
「最近のお気に入りスポットは、カレーがとても美味しい清里の『萌木の村ROCK』というお店ですね。ここはテラス席が犬同伴OKなので愛用しています」
「伊豆方面のコースはアクセスしやすいのでお気に入りです。天気が良ければバイクでも行きます。海沿いを走り、ジャンボ味噌汁が名物の『海女の小屋 海上亭』というお店で食事して、赤沢の日帰り温泉に入り、帰りは伊豆スカイラインを通って御殿場周りで帰るルート。海も山も楽しめてオススメのコースです」
トナーレ以外にも、排気量1,000ccの大型バイクとビッグスクーター(バレンティーノ・ロッシ選手のサイン入り)を所有する亀澤さん。ビッグスクーターのタンデム走行はファムのお気に入りでもある。
亀澤さんとファムの幸せそうな姿に、私たちは「毎日を機嫌よく暮らすためのヒント」をもらえる気がする。自然体のライフスタイルを送りながら、憧れと美意識に対して素直になる。そして、求めるものをピンポイントに絞る。今の自分が求めるデザインや機能などを確認して「軸」を持つことの大切さをトナーレのオーナーに教わった。
Text: | 神吉弘邦(ITALIANITY編集長) |
Photo: | 望月勇輝(Weekend.) |