2021.7.20
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今年で111周年を迎えたアルファ ロメオ。それを記念して、6月24日(木)に配信されたアルファ ロメオ111周年 オンラインイベントの特別企画として“アルファ ロメオの新たなはじまり”をテーマにオーナーインタビューを実施。株式会社カーグラフィック代表取締役社長・加藤哲也さんがインタビュアーを務め、4組5名のアルフィスティにアルファ ロメオにまつわる思い出やストーリーについて話をうかがったので、2回に分けてお届けしよう。後半は、親子二代で、そしてご主人との思い出が詰まったアルファ ロメオとのストーリーだ。

※掲載の情報は2021年7月時点のものです。

親・子・孫三代で受け継ぎたい思い:吉田文彦、知彦さん

Mondo Alfaにもご出演いただいたことのある吉田さん親子。お父さまが1972年式のジュリア スーパー、ご子息は2020年式の『Alfa Romeo Giulia Veloce(アルファ ロメオ ジュリア ヴェローチェ)』にお乗りという、二世代にわたってジュリアを駆るアルフィスタだ。

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▲写真左:吉田知彦さん、写真右:吉田文彦さん

吉田家にとって思い出深いアルファ ロメオはベルギーに赴任した際に購入し、いまもお乗りのジュリア スーパーだ。「ミラノやモデナまで走りました。もちろんMuseo(アルファ ロメオ歴史博物館)にも“里帰り“させました」と懐かしそうに文彦さんは語る。

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一方知彦さんは当時10歳くらいで、「ブラッセルの田舎町などを走る時には一緒に乗せてもらっていました」
その知彦さんも、「父親とジュリア スーパーで時間を過ごすことが多かったので、すごく思い出深いクルマです。当時、レーシングカートをやっていたので、クルマにどっぷりのめり込む時期に家族の一員になったクルマです」というので、自然とアルファ ロメオを好きになっていったようだ。

DSC4796-1 アルファ ロメオ創立111周年記念オーナーインタビュー(後編)

そんな知彦さんの最初の愛車がジュリア ヴェローチェだ。なぜジュリアかと問われると、「もちろん父の影響も大きいのですが、自分がクルマに求めるたくさんの要素、例えば、デザイン、後輪駆動などで車種を絞っていきました」と知彦さん。ここから彼のやさしさが見え隠れする。

「僕には結婚を前提に付き合っている彼女がいるのですが、クルマ酔いをしてしまうのです。そこで、彼女のケアが出来て、ほかの要素も満たせる1台は何かと考えたらジュリアしかありませんでした」

購入前には一緒に試乗もして購入に踏み切った。実際に購入してみての印象は、「最高です! レーシングカートのセッティングがうまくできた時は周りが見えなくなるくらい“キマった!”という瞬間があるのですが、ジュリアでサーキットを走らせたときにそれがよみがえりました。ボディ剛性も高くて最高な走りでした」と嬉しそうに語ってくれた。

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吉田さん親子に、アルファ ロメオのどんなところに魅力を感じるかを尋ねると、「戦前は超高級車メーカーで、戦後は一般の人にも買える量産車メーカーにシフトしましたが、そのときに、戦前のヘリテージを少しでも反映しようという努力が感じられるところです。ジュリア スーパーだとツインカムや四輪ディスクブレーキなどからうかがえますね。大衆が買えるゾーンでも、“つまらないクルマは作らないぞ”というところが魅力です」

そのコメントに対し加藤さんも、「退屈なクルマはアルファ ロメオじゃない」と共感。知彦さんも同様に、「自分は仕事で無難な道を選んでしまうこともありますけど、アルファ ロメオはそれがなく(つまらないクルマは作らないという思想を)貫いている。だから存亡の危機を迎えたこともあるような一面はありましたが、それは自分たちのスタイルを貫いて、がむしゃらにもがいてきたという証拠。そのスタンス自体がすごく良いなと思って大好きです。僕も見習わないと」と、ご自身の人生観や仕事観にも影響を与えているようだ。

DSC4574-1 アルファ ロメオ創立111周年記念オーナーインタビュー(後編)

そんなお話を横で聞いている文彦さんに、「ご子息が同じアルフィスタになったことは嬉しいですか?」という加藤さんに対し、「嬉しいですね」とうなずく。そして、「私は息子に好きなこと、興味のあることをどんどんやらせてきました。その結果がこのジュリアだと思います。これを選んだ時点で、価値観や仕事に向き合う姿勢などを含めて(息子が)引き継いでくれたなという感じです。これからもそれを貫いてほしいですね」

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それを聞いた知彦さんも、「好きなものは何でもやらせてもらいましたが、そうすると責任も伴ってきます。全部上手くいくことはありませんし、好きなことをやってきたからこそ起きてしまったミスもありますが、それも含めて全部自分の肥やしになっていると思います。その結果、人生を楽しめています。そして今度は、父から受け継いだことを、自分の子供に伝えることで、今の自分と同じように感じてもらいたいですね。そうやって時代が繋がっていってほしいです」とコメント。加藤さんからも、「情熱的に生き続けようぜということですか?」と問われると文彦さんは、「そうです、自分にウソをつくなということです」と答えていた。

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最後にお二人にアルファ ロメオの未来と期待について尋ねてみた。文彦さんは、「アルファ ロメオはドライバーを喜ばせる方法を一番知っているのではないかと思います。この先、電気自動車になっていくかもしれませんが、そうなってもそこは大事にしてほしいですね。やはり“アルファ ロメオはアルファ ロメオだね”と思わせるようなクルマ作りをして欲しいです」

知彦さんは、「今、自動車が変わっていく過渡期にいると思いますが、生き延びるための消去法で、未来の答えを出すのではなく、いままでのアルファ ロメオ(の精神)を貫いて、この歴史を繋いでいってもらいたいです。いまは親子2代でアルファ ロメオに乗っていますが、出来れば親子孫3代で乗りたいので、それが実現できるように頑張っていってほしいですね」と語った。

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何気ない日々が一番大切:佐藤光江さん

1973年のモントリオールとともにご参加いただいたのは、佐藤光江さん。このクルマは亡くなられたご主人が遺された愛車である。

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▲佐藤光江さん

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もしあなたが、古いクルマに興味があり、ドライブする時のファッションにも同じくらいこだわりをお持ちなら、『Vintage Lovers(ヴィンテージラバーズ)』というブランドをご存じかもしれない。このブランドを立ち上げたのが佐藤さんのご主人、故・佐藤陽一さんだ。今回加藤さんが着ているブルゾンも『ヴィンテージラバーズ』のものだ。

「すごく格好良い方でした。イタリアにシンパシーを感じていて、本場のミッレミリアや、日本のラ フェスタミッレミリアにも出ていましたよね」と加藤さんもプライベートでも交流があったようだ。

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モントリオールは一昨年、東北復興支援を目的とするチャリティ クラシックカー イベント『GO!GO!ラリー in 東北』に参加。佐藤さんご夫婦で最後に出場したイベントだ。「亡くなる2か月前だったので、相当体調は悪く、そのイベントも当然私が運転するものだと思っていました。そうしたら2日間ずっと運転し続けたので、よほど楽しいというか、気分が上がるようなドライビングが出来たのではないでしょうか」と光江さん。

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このモントリオールの前オーナーは佐藤さんご夫妻の知人だった。「何年かかけて交渉をして、譲っていただくことが決まりました。そこで静岡まで、2人でクルマを受け取りに行ったのです。帰り道の故障が心配で、いざとなったら対応できるように他のクルマと2台で帰るようにしていたのですが、途中でヒューっと抜かれて、主人は先に家に着いていました(笑)。そうしたら、“ご機嫌だよ! すごく楽しいよ”と。走りも期待していたよりも良かったようです」とその時のことを振り返る。

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これまでにも複数台アルファ ロメオを所有していた佐藤さんご夫妻。「アルファ ロメオは、イベントのときよりも日常的な思い出がいっぱいあります」という。
「ちょっとお茶を飲みに行こうと出かけて、1991年式のスパイダー ヴェローチェをカフェの前に停めてクルマを見ながらお茶を飲んだり。SZも好きで、それに乗って箱根に行ったりとか」と思い出を語ってくれた。

アルファ ロメオのイメージは、「自家用車でありながらも、ちょっとお洒落な感じですね。特にジュリエッタによく乗ったのですが、日常使いのクルマなのにカッコいいところに満足感がすごくありました。スポーツタイプのクルマを何台か乗っていましたので、ワインディングを走るのも愉しめるのも良いなと思います」。

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そんな佐藤さんの人生においてアルファ ロメオはどういう存在なのか。
「主人を亡くして思うのですが、人生の中で“何気ない日々”が実は一番かけがえがなくて、そんな時に一緒にいた家族のような存在がアルファ ロメオです。一緒によく行った場所にアルファ ロメオで出かけたという思い出はたくさん詰まっています。そんな欠かせないブランドです。日常を一緒に過ごして、楽しませてくれたかと思うと涙が出てきて……」と少し声を詰まらせながら話してくれた。

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▲モントリオールには『GO!GO!ラリー in 東北』にご夫婦で出場された時のゼッケンが貼られている。

そして、今後のアルファ ロメオに期待することとして、「いまのクルマはみな同じようなフォルムになりがちで、あまり見分けがつかない感じがします。ですからこれから先も、アルファ ロメオだと気付かせるちょっとひと捻りあるお洒落なクルマであり続けて欲しいですね。今後も新しいアルファ ロメオに乗りたいと思っていますので、便利だけどお洒落、そしてパッションもあるクルマを期待していますし、ずっとそういう存在であってほしいですね」とコメント。加藤さんから、「それはきっと佐藤さんも同じ思いですね」と話すと、「そうですね。多分言わされていると思います」と笑った。

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今回インタビュアーを務めた加藤さんは、「皆さんとお話をして感じたのは、どの時代のアルファ ロメオも人に愛され、人に思い出を作り、人と生活をしているということでした。アルファ ロメオに触れるとビタミンを補給したような元気をもらえる。そんな印象を受けた1日でした」とコメント。

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日常生活の中に華を添えてくれる存在であるとともに、アルファ ロメオを通じて、性別、年齢、職業、国籍が関係なくつながり、そこから一生の友のような存在が生まれる。それもこのブランドの大きな魅力だ。これから先の“未来”に向けて、新しい時代を築いていくとしても、それは大きく変わることのない、伝統であり根幹なのである。

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※ソーシャルディスタンスを保ち、安全に十分に配慮したうえで取材を行っております。

Interview:加藤哲也

Text: 内田俊一(Shunichi Uchida)
Photo: 安井宏充(weekend.)

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